【メルマガ独自解説】
 取材中に、ふと言われたことがありました。「ストレートの人って、1日7回カミングアウトできるんですよ」と。
 そういえば、そうかもしれない。メルマガに書くのはどうかという議論はさておき、私は女性に生まれたストレートで、心の性と体の性が一致している人間です。土日はデートするのか、好きな男性はどんなタイプかと聞かれても、友達と盛り上がれるし、どこかに江藤智さん(元プロ野球選手、広島や巨人、西武などで活躍しました)のような人がいないものかと話せます。あんまり仲良くない人に、いつ子供を産むのかと聞かれて返事に困ったことはあれど、自分の好きな人のことを話すのに思い詰めたことはありませんでした。
 ですが、LGBTQ+(性的少数者)の方々にとって、いつ話すか、気持ち悪がられないのかなどと考え、自然にカミングアウトできず、いつも苦しいものだったと言うのです。体と心の性が異なるトランスジェンダーの方々が就職活動に悩む、ゲイの高齢者カップルでパートナーが病死したのに、マンションを相続できずに家を追い出される……。そんな問題がいま、日本の社会で起きています。
 8月23日号の特集「あなたの隣のジェンダー革命」では、今も残る男女の格差、LGBTQ+の方々を取り巻く環境について幅広に取材をしました。みんなそれぞれ生きづらさを抱えているんじゃないか。だからこそ、多様な個人が生きやすくなる。そんな未来にほんのちょっとでも近づけばいいなぁ。そんな思いを、僭越(せんえつ)なんですけど、入れています。
(日経ビジネス記者 大西 綾)