【メルマガ独自解説】
 「モンダミンの蓋、つるっとしてたら握りにくいでしょ」「入浴剤の個包装、風呂場で開けたあと邪魔やと思わへん?」「コンセントに垂直にしか差さらへんコード、あれごっつう気になるねん」。こう話すのは、殺虫剤大手アース製薬の川端克宜社長。取材中、製品のちょっとした不満点や改善点についてのアイデアを話し出すと止まりませんでした。
 トップが商品開発に深く関わるのはアース製薬の伝統です。例えば、1973年に発売されたロングセラー商品「ごきぶりホイホイ」。元社長の大塚正富氏が、夏の暑い日にセミの鳴き声を聞いて少年時代を思い出し、「とりもちでペタッとやれば簡単に虫が採れるのになあ」と、ひらめいて生まれたのだといいます。
 実は、約50年前に経営難に陥って以来、大塚製薬をはじめとする大塚グループの一員である同社。オーナー家から送り込まれた歴代のトップはいずれもヒットメーカーで、社内には上意下達の商品開発が染みついていました。ボトムアップ型の組織に転身させるという使命のもと、7年前に42歳の若さで抜てきされたのが生え抜きの川端社長。自身は、「ここちょっと惜しいなあ」という不満点を見つける“生活者代表”に徹し、現場主導で商品を生み出す風土をつくりあげてきました。
 8月16日号のケーススタディー「16期連続増収のアース製薬 カリスマ頼みの商品開発から卒業」では、その変革の道のりを追いました。
(日経ビジネス記者 橋本真実)