【メルマガ独自解説】
 地政学リスク――。この1~2年、企業経営者への取材で聞く機会が非常に増えた言葉です。10年ほど前までは、政治や金融マーケット以外ではあまり使われることはなかったように思います。変わったのは、米中覇権争いの余波が世界に広がったためです。工場建設や部材調達、物流ルートなど企業が地球儀のどこに旗を立てて事業を展開するか慎重に吟味せざるを得なくなってきたのです。
 地政学は19世紀後半にドイツなどで広がった学問ですが、「戦争のための学問」「支配者の学問」として敬遠された時代もありました。今、地政学が再注目されるのは、世界情勢がそれほど緊張に満ちているという証左です。最近、「経済」と「安全保障」を結びつけた「経済安全保障」の視点がはやるのも、国際秩序の不安定さが背景でしょう。
 地政学や経済安保だけではありません。地球環境や人権などにも気配りし、企業が安定したサプライチェーン(供給網)を築くには、様々なことに配慮する必要があります。効率性を追求するだけの仕組みは通用しなくなってきました。
 日経ビジネス2021年6月7日号の特集「米中衝突、コロナ、SDGs サプライチェーン新秩序」では、新時代のサプライチェーン構築に動く企業を取材しました。今そこにある危機に備えるため、事業戦略のヒントになれば幸いです。ぜひご一読ください。
(日経ビジネス記者 岡田達也)