【メルマガ独自解説】
 「佐川は配達が荒いのよね」。幼い頃、母が度々こんなことを言っていた記憶があります。佐川とは、宅配大手の佐川急便のこと。もともと早さ重視の企業間物流が主力で、しかも壊れにくいアパレル系の荷物が多かったため「消費者から見て扱いが荒いという印象があったことは確かだと思う」と関係者は話します。
 ただ、2000年前後から通販市場が伸び始め、佐川急便が消費者の自宅に商品を運ぶ機会は増えていきます。問屋や小売店に運べばよい時代ではなくなっていきました。荷物は小口化が進み、梱包も簡素になっていきます。かつてのような荷物の扱い方では消費者の理解は得られません。「輸送品質の向上」、これが佐川急便内でのキーワードになっていきました。
 今では「宅急便」のヤマト運輸や「ゆうパック」の日本郵便と比べ、品質が低いとの声はあまり上がらなくなったように思えます。業績面で見れば、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの営業利益率は最大手のヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスをしのぐ業界首位となりました。たゆまぬ品質の向上と両輪の、運賃の引き上げが功を奏した格好です。ケーススタディー「宅配大手のSGホールディングス 量より収益力、新たな盟主」ではその裏側を探りました。
(日経ビジネス記者 高尾泰朗)