【メルマガ独自解説】
 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの経済復興をめぐり、各国政府は「脱炭素」を打ち出しました。日本でも菅義偉首相が、2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、グリーン成長戦略が策定されています。
 この流れの中で、企業は2030年や2050年をターゲットにした長期視点の経営を求められるようになりました。四半期ごとの短期利益ばかりを重視する投資家目線の資本主義に対する、懐疑的な風潮はコロナ前から高まりつつありましたが、経営の時間軸がまた極端に切り替わったことで、戸惑う企業も多いかと思います。
 ケーススタディー「50年も当たり前、超長期の研究開発こそ東レの命脈」で取り上げた東レは、日本を代表する「超長期」経営の銘柄です。主力商品の炭素繊維は軽くて強く、さびにくいという特性から航空機の材料などに利用されていますが、研究に着手してから果実を得るまでには半世紀もの時間を要しています。
 適切な素材を集めてきて製品をつくる組み立て産業と違って、その素材をゼロからつくりださなければならない東レのような素材産業は、そもそも長期視点を求められるという事情はあります。ただ、30年や50年といった時間軸の研究開発を当然のように織り込む経営は、アフターコロナの企業経営を考える上で、業種を問わず多くの示唆に富んでいます。
(日経ビジネス記者 奥平 力)