【メルマガ独自解説】
 山あいの田舎に育ちました。人口は2000人余りで小中学校の同学年は20人くらい。隣接する、少し栄えた町の数分の1でした。「昔はもっと子供がおった。みんな都会へ出て行った」と親世代から聞かされ、幼いながら「田舎だから子供が少ない」「その分、都会は子供が多い」のだと考えてきました。
 それから20年余り。現在、子供が少なくなっている理由は「田舎だから」ということだけではないようです。取材班が訪ねた東京都東部エリアや千葉市郊外のニュータウンなど都心からそれほど離れていない地域でも、子供をほとんど見かけませんでした。
 2019年の出生数が初めて90万人を割り込んで約86万5000人となったことを、政府が少子化社会対策白書で「86万ショック」と呼んだのが20年。ただでさえ、少子化が進む中で、新型コロナウイルスの感染拡大はそのスピードをさらに速めようとしています。
 緊急事態宣言が初めて発令された20年春ごろから婚姻数や妊娠届の届け出数は減少傾向が強まっており、専門家の1人は21年の出生数が75万人程度まで落ち込むと予測しています。取材からは人流抑制によって出会いの場が減少し、婚姻や出産の前提となる恋愛活動も停滞している現状が見えてきました。
 少子化の加速は「無子化」とも呼べる状況を拡大させます。日経ビジネス2021年5月24日号の特集「無子化社会 『恋愛停止国家』の未来」では、急加速する少子化に対し企業や個人がすべきことを探りました。
(日経ビジネス記者 藤中潤)