【メルマガ独自解説】
 日本生産性本部が新入社員を対象に1969年度から実施している「新入社員『働くことの意識』調査」に、興味深いデータがありました。「どのような要因でこの会社を選んだのか」という質問に対して「能力・個性が生かせる」「仕事が面白い」という回答が年々上昇する一方、「会社の将来性」と答えた人が右肩下がりで減っているのです。今や同じ企業で入社から定年まで働き続ける時代ではなくなりました。若手社員ほど、会社にしがみついて安定を得るよりも、自分の適性に合った会社を選び、能力や個性を磨く機会を得られるかを重視している点が改めて浮かび上がります。
 裏を返せば、活躍・成長できる場所やチャンスを与えなければ良い人材はよそへ行ってしまうということです。「ジョブローテーション」という名の下に様々な仕事を経験させ、年次や役職に応じて徐々に責任を与えていく年功序列・終身雇用に基づいた人の育て方は時代にそぐわないといってもよいでしょう。個々の社員が持つ希望や適性を会社の人材配置といかにマッチングさせていくかがより重要になってきます。企業の人材活用戦略は画一的なものから個別的なものへと軸を移していく必要がありそうです。
 日経ビジネス2021年5月17日号の特集「人材活用ニューノーマル 個が生きる会社へ」では、1人1人の社員が最高のパフォーマンスを発揮し、会社全体の成長へとつなげる仕組みはどうあるべきか、様々な企業の事例を基に考えました。
(日経ビジネス記者 武田安恵)