【メルマガ独自解説】
 居酒屋やレストランを訪れた際、たくさん席が空いているのに、先客の隣席に案内されたことはありませんか。従業員にとっては、来店客が固まっていてくれた方が配膳や接客がしやすい。効率重視の工夫ですが、今、同じように案内されたら来店客はどう感じるでしょうか。
 コロナ禍は外食のセオリーを全く変えてしまいました。冒頭の例は細かな話ですが、こうした違和感を残す接客は、じわじわと顧客満足度を削ります。ワクチンの接種が進み、外食需要が戻ってもコロナ禍によって生まれた「外食はあえて行くもの」という意識は消えないでしょう。都心や駅近の好立地に看板を掲げて「なんとなく来店」する人を引き寄せるのではなく、「目的来店」者を呼び込めるようにモデルチェンジしなければ、ワクチン接種後の世界でも生き残りは難しくなります。
 味、価格(安さ)、居心地、コミュニケーション――。外食欲をかき立てるキーワードをどう選び、鍛えて、組み合わせるのか。「おいしい」だけではレッドオーシャンです。日経ビジネスの2021年5月10日号の特集「負けるな外食 大逆風に立ち向かう人たち」では、コロナ禍で自分たちが「誰のための何屋なのか」を見つめ直して動き出した外食の現況を紹介しつつ、その先を占います。
(日経ビジネス編集部 鷲尾龍一)