【メルマガ独自解説】
 エーワン精密は30%前後の経常利益率を誇る金属加工会社として知られています。「コレットチャック」と呼ばれる消耗工具が主力の同社がなぜ、これだけ高収益な会社づくりができているのでしょうか。その理由を梅原勝彦相談役の歩んできた道からひもときます。
 裕福な環境で生まれた梅原氏でしたが、小学校2年生の時、東京・白金の家を失い、家族はバラバラになりました。理由は父の博打(ばくち)の借金が積み重なったこと。兄・姉と梅原氏の3人は、2番目の義母の田舎、鹿児島の3つの親戚に別々に預けられました。小学校6年生の途中からは、父・兄・姉と再び東京で暮らし始めましたが、ここでもまた父に翻弄されます。「小学校を出たら働け」。父は梅原氏にこう命じました。父は小学校の途中から働き始めたので「職人には学問はいらない」と考えていたのです。
 戦後間もない時期とはいえ、周囲にそんな子供はいません。商売の才能はあるものの上から押さえつけるやり方だった父が、梅原氏にとって反面教師となりました。「エーワン精密・梅原相談役の『不屈の路程』(第1回)(第2回)」では、その後の起業や事業モデルの転換、そして上場まで、いくつもの苦難を乗り越えてきた姿を全4回の連載で徹底的に検証します。
(日経ビジネス副編集長 中沢康彦)