【メルマガ独自解説】
 新型コロナウイルスの第4波といわれる感染拡大が収束の兆しを見せません。国民の不安は募り、経済への影響も深刻なものになっています。
 危機を乗り切るカギはワクチンと医療にありますが、ワクチン接種は世界の中でも大きく遅れ、日の丸ワクチンも開発できていません。医療は第4波の猛威で再び逼迫しています。厚生労働省が主導して開発したコロナ患者との接触確認アプリなどのシステムは、次々と障害を起こしました。医療大国で、技術大国でもあったはずの日本でなぜこんなに混乱が起きるのか。
 日経ビジネスは4月26日号の特集「ワクチン最貧国 危機管理なき日本の医療」の中で、その原因を掘り下げ、解決への処方箋を考えました。例えばワクチン開発には技術力だけでなく、膨大なコストと手間がかかります。欧米や中国は、国が危機管理政策の一環として徹底して企業を支援し、開発を後押ししてきました。一方、日本にはそれがなく、ほぼ民間任せの状態でした。
 医療に目を向ければ、実は日本の病院、人口当たり病床数は主要国の中で最も多いのです。それでもひとたびパンデミック(感染大流行)が起きると、逼迫しやすい。その理由は、公立・公的病院や民間病院の経営体としての体質にあります。公立・公的病院は、数が少ないだけでなく慢性的に赤字で病床や医師を増やすのが難しい。全体の約8割を占める民間病院は中小が多く、経営に打撃となりかねないコロナ患者を受け入れにくい。危機に柔軟に対応する仕組みに乏しいのです。
 特集では、経営相談までしながらコロナ患者を受け入れる民間病院を増やした神奈川県など地方の改革例も紹介しました。さらに中長期的な視点から、地域の医療資源を再配分する地域医療構想など国の役割の重要性も指摘しました。日本医療は今こそ改革の時です。
(日経ビジネス編集委員 田村賢司)