【メルマガ独自解説】
 5年ほど前から「空き家」に関する取材をしています。虫食いのように街に余白をつくる空き家は、自治体の頭痛の種となっています。例えば、2016年1月に九州地方を襲った寒波により、福岡県大牟田市では凍結した水道管が破損して市内全域で5日ほど断水が続きました。復旧に時間がかかった理由は、個人資産である空き家に市の職員が立ち入れず、漏水の状況が確認できなかったから。こうした事態は今後も様々な自治体で発生するでしょう。
 野村総合研究所の予測によると、空き家の除去率が高く維持された場合でも38年には総住宅数に占める空き家数の割合は20%超となります。5戸に1戸が空き家となる時代が訪れるのです。4月26日号スペシャルリポート「『負のストック』を宝の山に 空き家が担う社会変革」では、官民で進む新しい空き家の活用法を紹介しました。コロナ禍を経て急速に普及したリモートワークにより、これまでになかった空き家の使い方が開発されています。
 廃棄された家電製品からレアメタルなどを回収して資源化する「都市鉱山」が一般的になったように、空き家もいつか地域の活性化を支える社会資源に変わる。そのためには一段の官民連携が欠かせません。
(日経ビジネス 江村英哲)