【メルマガ独自解説】
 「三井不動産の社名から『不動産』が邪魔になる時代が来る」。そう語ったのは同社の北原義一副社長。4月5日号のケーススタディーでは大手不動産会社が取り組む新規事業の創出について取り上げました。そもそも三井不は挑戦的な不動産開発で成長を続けてきました。古くは日本初の超高層ビルである「霞が関ビルディング」や巨大人工スキー場の「ららぽーとスキードームSSAWS(ザウス)」など、世間を驚かせるような事業をいくつも手掛けてきたのです。ただ、一つひとつのプロジェクトが大きくなることで、規模の小さな新規事業が生まれにくくなっていた。「挑戦を敬遠する大企業病がまん延する兆候があった」(北原副社長)と言います。
 三井不は2018年に「MAG!C(マジック)」と名付けた新規事業の提案制度を設けます。端的に説明すれば、「事業アイデアの発案者が責任者となって新規事業を経営する仕組み」です。マジックの1号案件は「ブドウ栽培」でした。日本とニュージーランドの季節差を生かして高級ブドウを通年栽培するビジネスです。考案したのはビルディング本部法人営業統括部に所属していた3人でした。発案者の1人である鏑木祐介氏は「土地に付加価値を与えるという意味では、農業も広義の不動産業」と話します。
 三井不ではマジックを通じて現場から100件を超えるアイデアが集まっています。そのアイデアを潰さないよう全社的に守り、育てるシステムこそが新規事業が芽生える肝となっていました。ぜひ、多くの経営層に知っていただきたい取り組みです。詳しくはケーススタディー「三井不動産 脱大企業病、新事業生み出すマジック」をご覧ください。
(日経ビジネス副編集長 江村英哲)