【メルマガ独自解説】
 いつか来る、きっと来る――。日本の著名ホラー映画ではありませんが、宇宙ビジネスの「きっと」がようやく到来しました。その主役は、電気自動車(EV)大手のテスラを率いるイーロン・マスク氏と、アマゾン・ドット・コムの創業者兼CEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾス氏の2人です。EVとインターネット通販で世界を変えてきた実績と、事業で得た巨万の富を惜しみなく投じる姿は、宇宙時代の到来を強く感じさせます。
 対する日本は宇宙航空研究開発機構(JAXA)を頂点に関連企業が連なるピラミッド型の産業構造です。官需が9割と、市場の成長力は乏しく、人工衛星の部品の4割は安価で良質な海外部品に頼っています。「技術は強いが商売が弱い」というわけではなく、技術でも海外に後れを取りかねない危険な分水嶺にあります。
 そんな日本もここ数年は、民間主導の宇宙開発の機運が高まり、徐々に成果が出始めています。トヨタ自動車やソニーといった「異業種」だけでなく、普通の会社員が起こした民間団体が衛星を宇宙に打ち上げました。
 需要が高まれば、応えようとする技術も鍛えられ、自動車のように裾野が広い産業基盤が整うはずです。夢やロマンではなく、狙うべき新市場として宇宙を語る。特集「ベゾスvsマスク ついに来た宇宙経済ビッグバン」がそのヒントになれば、幸いです。
(日経ビジネス記者 鷲尾龍一)