【メルマガ独自解説】
 ビジネスの世界は弱肉強食。弱い企業は淘汰されて当然としたり顔で唱える雰囲気がアベノミクス以降、強まったように感じます。実際はリーマン・ショック以降、手厚い金融支援で倒産件数は抑えられ、これが「原理に反している」という「ゾンビ企業」批判があります。
 一方で、企業の休廃業数は増えており、2020年は過去最高を記録しました。うち6割は黒字。黒字企業すら淘汰されているとしたら、企業や経営者を取り巻く環境に不備があるのではないか――。そうした疑念から取材が始まりました。
 特集「大廃業サバイバル 小さくて強い経営」では、前半で真面目な企業から利益をかすめ取ろうというアンフェアな存在を取り上げ、後半で「企業の強さとは何か」を考えました。私たち取材班は、少なくとも強さとは「大きさ」だけではないと考えています。取材した中小企業の経営者は言いました。「人口減少や地方経済の衰退、そして大手との競争を超えて生き残っている」と。
 企業が“ゾンビ”になるのは経営危機に陥ったときではなく、経営者が闘う意欲を失ったときです。意欲があれば、巻き返し、方向転換、再挑戦が可能なはず。むしろ、小さいが故に激変する環境変化に対応できることもあります。小さく強く生き抜く企業家の生きざまを、どうぞご高覧ください。
(日経ビジネス記者 鷲尾龍一)