【メルマガ独自解説】
運動公園のトラックを走る1人のランナー。彼がかけているのはスポーツ用サングラス、ではなく眼鏡型のMR(複合現実、ミックスドリアリティー)端末。装着すると人の形をした立体映像「伴走アバター」が出現する。これは実際に米スタートアップ企業が開発した製品で、過去の自分や友人の走行記録を基に仮想現実のランナーと競えるのが特徴です。
SPECIAL REPORT「ここまで来た仮想現実 XRは生産性向上の切り札」では、現実空間とデジタル仮想情報を融合するXR(クロスリアリティー)技術について取材をしました。
XRが盛り上がっているのは娯楽やスポーツなどエンターテインメント向けだけではありません。鉄工所、土木建築、工場の保守点検、遠隔支援、社員研修――。仮想現実を用いた端末を働く現場に導入する企業が増えています。あたかもそこにあるような3次元映像技術をうまく使い、仕事の効率を良くしようと工夫を重ねています。
新型コロナウイルス拡大によって非接触技術への需要は増えています。ただ人手が足りない、熟練技術者がリタイアする、といった社会全体が直面する構造的な課題の解決にも役立ちます。この盛り上がりは一過性ではなく近い将来にXRムーブメントがやってくるのではないか、そう感じました。ご一読いただけたら幸いです。
(日経ビジネス記者 岡田達也)
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