現代奴隷――。こんなショッキングな言葉が、ESG(環境・社会・企業統治)の分野では日常的なキーワードになっています。強制労働や人身売買、強制結婚などで望まない仕事を強いられる「現代奴隷制」の被害者は世界で4000万人を超えるともいわれます。さらに約1億5000万人の子供が国際的に認められていない児童労働に従事しているとの推計もあります。
 昨年12月、コンゴ民主共和国のコバルト鉱山で働いていた児童が事故で死傷した件で、アップルやテスラなど米国を代表する企業5社が人権団体によって提訴され、世界に衝撃が走りました。こうした人権侵害の下につくられた原料や部材を調達する企業は、それに加担したとみなす――。社会・経済に影響力を持つサプライチェーンの下流に位置する企業に、厳格な倫理的行動を求める潮流が押し寄せてきています。対応が後手に回れば、経営の足をすくう大きなリスクになりかねません。日本の企業やNPOの先進的なリスク対応の取り組みを紹介します。
(日経ビジネス記者 吉岡陽)