【メルマガ独自解説】
 「見えていると思っていても、実は見えないものが世の中に極めて多いんですよ」。こう話すのは、日本電子と共同開発を長く続けてきた東京大学大学院の柴田直哉教授です。私たちが高校の授業で化学式を書いた炭素と水素の結合も、実際に原子2つがつながっている部分ははっきりと見えていないそうです。この1兆分の1メートル、「ピコ」単位の世界を見えるようにする、そんな電子顕微鏡の開発に携わっているのが、日本電子です。見えるようになれば、新しい薬や材料の開発につながっていきます。
 強みは、何よりも科学者たちとの交流を絶やさないようにしてきたこと。
 ノーベル化学賞を受賞した野依良治氏、次のノーベル賞候補と目される藤田誠氏など、トップサイエンティストと長く交流を続けています。東京都昭島市にある本社には国内外の科学者たちが絶えず訪れ、まるで大学の研究室のような和やかな雰囲気が広がっていました。
 日本電子は、巨大な顕微鏡開発の裏側で、組織改革を進めるなど利益を生み出しやすくし、次の共同研究へとつなげています。ケーススタディー「ノーベル賞、陰の立役者 電子顕微鏡で世界トップの日本電子」では、知られざるグローバルニッチ企業の秘密を探りました。
(日経ビジネス記者 大西綾)