【メルマガ独自解説】
 記者は過去5年ほど、ハッキングなどサイバー攻撃による情報漏洩を中心に取材してきました。今回は「産業スパイ」を通じた情報漏洩の取材にチャレンジしてみました。そのほとんどは内部犯行です。社員が技術資料や顧客名簿などの企業秘密を手土産に、ライバル企業に転職するパターンが目立ちます。
 産業スパイ行為を働いた人物はもともと信頼していた仕事仲間であることが多いだけに、被害者の感情は強烈です。ここが、面識のない第三者が手掛けるサイバー攻撃と決定的に違うと感じました。10年以上前の出来事であるにもかかわらず、今も裏切り者である元同僚に対する怨嗟(えんさ)をあらわにする被害者もいました。
 ただ強い個人的感情が絡んでいると、事実を客観的にとらえるのが難しくなります。被害者に加えて、加害者と目される人物の話を聞くなどして、慎重に真実を見極める必要があると思いました。
 産業スパイの分野ではハニートラップなど、実に人間臭いドラマが繰り広げられています。これからも慎重な取材で深掘りをしていきます。
 今回は京都の電子部品メーカーを舞台にした産業スパイ事件を取り上げてみました。ぜひ記事をご覧ください。
(日経ビジネス記者 吉野次郎)