【メルマガ独自解説】
 日本経済新聞で教育業界を担当していた2018年、駿台予備学校を運営する駿河台学園が、スマートフォンを通じて分からない問題を大学生らに質問できるサービスを提供する企業を買収したという記事を執筆しました。
 当時、添削指導で知られるZ会グループがオンラインでライブ授業を配信する企業を買収したり、河合塾がAI(人工知能)を活用した学習教材を手掛ける企業と業務提携したりしていました。教育と最新技術を融合させた「エドテック(EdTech)」関連の取り組みが、大学受験業界で目立ってきた頃です。駿台もその波に飲み込まれまいと動いている、取材しながらそんな印象を受けた記憶があります。
 それから2年。駿台はデジタル技術を自社の授業とどう融合させるかという点で、ライバルに一歩先んじようとしています。業界では個々の生徒の習熟度に合わせた学習サービスが求められ、個別指導塾が台頭しています。一方で人手不足は続き、優秀な講師を多く集めるのは至難の業です。
 さらに少子化で大手予備校の従来の客層だった「大都市圏に住む高学力層」は減少。ビジネスモデルの変革は急務で、これらの課題を解決するための一策がデジタル技術の活用でした。ケーススタディー「駿河台学園、老舗変革、AIで『個』に照準」ではその変革の過程を追いました。
 100年以上の歴史を誇る「老舗」の駿台がいかにデジタル技術を取り入れていくのかーー。遅々としてデジタル化が進まないあらゆる業界や行政などにもヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
(日経ビジネス記者 高尾泰朗)