デイヴィッド・ミーアマン・スコット(David Meerman Scott)
マーケティング・ストラテジストでありプロの講演者である。16才のときに初めて日本を訪問し、京都府宇治で1カ月過ごす。10年後に再び来日し、ウォール街の経済コンサルティング会社ライトソン・アソシエイツの東京支社を創立する。『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』以外の主な著書に、『リアルタイム・マーケティング』『月をマーケティングする』などがある。

デイヴィッド:今からまた6年後に、HubSpotがどうなっているか、「ドコノコ」がどうなっているか、そしてほぼ日がどうなっているのか、楽しみですね。

糸井:今回の3人のトークは、ほぼ日のオフィスでやっています。ほぼ日のメンバーのほかに、外部の方もいらっしゃる。会場から質問を集めてみましょうか。

質問者A:アメリカと日本では、カルチャーが大きく違いますが、HubSpot東京オフィスのメンバーへの研修で苦労された点などがあれば教えてください。

ブライアン:基本的なトレーニング内容は、アメリカでも日本でも同じです。でもやはり、文化は違いますね。アメリカでは男性社員と女性社員に対する対応は、完全なイコールではないけれど、それに近くなってはいます。日本では、まだ差を感じます。でも、機会を与えることはできる。だから、HubSpotの東京支社のマネージャーは女性です。私がかつて日本で働いていた1993年には不可能な抜擢だったと思いますが、今ならできます。

 もう1つ、1993年頃の日本では、白髪がある、つまり年齢が上というのは良いことでした。そして今の日本にもまだ、「年功序列」の意識が根強く残っています。年齢は関係なくみんな同じであるということをわかってほしいのですが、それを伝えるのは難しい。HubSpotの支社があるアイルランド、シンガポール、オーストラリアではこのことをわかってもらえるのですが、日本だけはまだですね。年齢差や性差というものが、いまだに問題として残っている

上場は、うれしくて泣いちゃうものだ

質問者B:HubSpotは2014年にニューヨーク証券取引所で上場しました。ほぼ日はこれから上場を考えていると聞いているのですが、ブライアンさんから糸井さんに何かアドバイスがあれば。

ブライアン:株式公開をした日というのは、それはそれはすばらしい1日でした。いまだに鮮明に覚えています。ダーメッシュと一緒に角を曲がって、ニューヨーク証券取引所の建物を見上げた時、もうそこで涙がにじんできたんですよ。そして上場の2日後に会社のメンバー全員でパーティーをした時は、みんな泣いていました。だから、アドバイスをするならば、お祝い会を盛大にやって、みんなで喜び合うといいと思います。

ブライアン・ハリガン(Brian Halligan)
ハブスポット(HubSpot)の共同創業者でCEO。2014年にニューヨーク証券取引所に上場。1922年にアメリカのソフトウェア会社PTCの日本支社を創立するために来日し、大きく成長させた。在日中は東京の等々力に住む。『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』以外の著書に『インバウンド・マーケティング』(すばる舎)がある。

糸井:はー……上場についてこんな絵本のような物語を話してくれた人は、初めてです。みんな、「こういうところが難しい」とか「こういう問題がある」とか、いろんなことを言うんですよ。そのどれとも違う。まるで、「ぼくが初めて結婚したときは……」みたいな話でしたよね(笑)。こんな答え方をしてくれる人は、これからも現れないと思います。

ブライアン:アメリカでも同じことを言われましたよ。あれが大変だ、これがむずかしい……でもね、やっぱりすばらしい日でした。

糸井:いやー驚いた。そして、すごくうれしかったです。今晩、もしかしたら上場の夢をみるかも。

ブライアン:会社を始められたのはいつですか?

糸井:ほぼ日を始めたのが1998年だから、そこからかな。

ブライアン:何十年もがんばってこられたんだから、その日くらいはみんなで泣いて、笑って、お祝いされてもいいのでは。そう思いますよ。

構成:崎谷実穂