ブライアン:アメリカはいろいろなことが機能していない国ですが、1つだけ上手なのが、イノベーションを起こし、ゼロからイチをつくっていくことなんです。日本は移民が入ってきにくい国だということですが、アメリカの場合、移民がスタートアップを起こすケースがとても多い。テスラやスペースXのCEOであるイーロン・マスクも、南アフリカからの移民です。移民はリスクをとって挑戦する傾向があり、スタートアップを起こしやすいんです。

 移民の2世、3世がスタートアップを起こすことも多いですね。私もそうです。祖母はアイルランドからの移民で、アメリカに来た頃はトイレ掃除をしていましたからね。

デイヴィッド:君の共同創業者もそうだよね。

ブライアン:そう、HubSpotの共同創業者であるダーメッシュも、インド生まれの移民です。

糸井重里(いとい・しげさと)
1948年生まれ。コピーライター。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。広告、作詞、ゲーム製作など多彩な分野で活躍。1998年にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設し同サイトの活動に全力を注ぐ。(撮影=鈴木愛子、以下同)

糸井:CTO(最高技術責任者)の方ですね。前にHubSpotにうかがったときも、彼の話題が出ていました。ブライアンさんにとって大切な方なんだろうなと思ったのを、覚えています。

ブライアン:そう、自分の人生のなかで一番すばらしいことは、ダーメッシュにMITの大学院で会ったことですね。移民の考え方というのは、生粋のアメリカ人とはやっぱり違うんですよ。アメリカのいい大学を出て、大企業に就職しても、英語のなまりがあるし、態度や物腰が生粋のアメリカ人とは違ってしまうからなじめない。だったら、自分で会社を始めたほうがリスクは少ない。大企業のほうがリスクは高いというのが、移民から見えている景色なんです。

糸井:なるほど。日本人だと見えてる景色はみんな同じですものね。アメリカではそういった環境が、ジャンプする理由になっているわけですね。

ブライアン:日本はみんなが全体的にお金持ちだから、それ自身がリスクになっている。

糸井:どうすればいいんだろう。

ブライアン:もし自分が日本の政治家だったら、門戸を開いて移民を受け入れますね。少子化問題も、スタートアップが生まれない問題も解決しますよ。大規模なベンチャーキャピタルの会社を設立することも進めますし、楽天やソフトバンクの社長に勲章を与えて王様扱いします(笑)。

糸井:殿堂入りさせちゃう、と。

若い人には“モデル”が必要だ

ブライアン:若い人に必要なのは、インスピレーションですから。そうそう、ソフトバンクの孫社長も“移民”ですよね。糸井さんがおっしゃるように、モデルが少ないのが問題だと思うんですよ。私はスティーブ・ジョブズにインスピレーションをたくさんもらいました。そういう人がたくさん現れたらいいんですけどね。糸井さんも、モデルの1人だと思いますよ。

糸井:1つ相談があるんですけど……ぼくがいままでやってきたことって、サブカルチャーではないんだけど、規模を大きくすることを目的としてなかったんです。それは、コマーシャルの仕事をしているときもそうで、だいたい100万人の人に通じたらいいと思っていました。でも、今年新しく犬や猫を登録する「ドコノコ」というアプリを作って、これは世界中の何億人という人に入ってもらいたい、と思うようになりました。これを広めるのを、HubSpotに相談することはあり得るのかな。

ブライアン:まず、ダウンロードしてみますね。

糸井:ぼくにはもう、「任せとけ」と言ったように聞こえました(笑)。

ブライアン:ドコノコはどれくらいダウンロードされているんですか?

「ほぼ日」オフィスにて。

糸井:始めて3カ月で、7万くらい。(※12月現在、10万人を超えました)

ブライアン:それはグッドスタートですね。

糸井:そう思います。今までの自分だと、これで「楽しい!」って思っておしまいにしていました。でも、それでは足りないと思うようになったんです。このタイミングで、HubSpotに再会するというのはなにかある気がします。