中西 宏明
日立製作所会長
日立製作所会長

日本を代表するコングロマリット、日立グループのトップに長年君臨する中西氏。インフラとIT(情報技術)に経営資源を振り向け、不採算事業からの撤退を進める「選択と集中」をこれまで徹底してきた。辣腕経営者が考える、新たな時代に集中すべき分野とは何か。(写真:稲垣純也)
IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)。これら技術を活用する第4次産業革命の波が、1年ほど前から本当の意味で、日本の産業に波及してきました。これまではAIを導入すると、人間の雇用が奪われるといった警戒論の方が強かったけれど、もはや技術革新をもたらし、産業の構造を根本から変える存在として、各企業が本気で導入に動きだしています。
もちろん、こうした新しいテクノロジーによってすべての企業がハッピーになるわけではありません。AIの活用に乗り遅れた企業は、他社に置いていかれるというシビアな面も出てくると思います。ある意味で、産業の新陳代謝が本格化し始めたというのが、ここ2〜3年の動きです。
そして2018年は、この新陳代謝がさらに進むであろうと予想します。ポジティブに捉えると、AIによって様々な社会課題が解決される可能性がありますし、ビジネスチャンスにもつながります。
従来と全く違ったパターンの受注
私自身もこの3年間ほど、まさに産業が変革しているということを、世の中にも発信してきましたし、政府にも訴えてきました。
日立グループはインフラをはじめとする様々な領域で最新のデジタル技術を駆使する「社会イノベーション」を事業の中核に置いています。
2017年からは、その手応えが強く感じられるようになってきて、従来と全く違ったパターンの引き合いや受注がありました。
顧客企業は産業構造の変化に対応し、将来どのようなビジネスモデルを築き上げるか、しっかり日立と一緒に考えたいと言っています。そんな話を聞くとうれしくなって涙が出てきます。2018年も、こういった傾向は続くと思いますね。
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