RICCI EVERYDAYの商品は色鮮やかなアフリカンプリントが特徴
RICCI EVERYDAYの商品は色鮮やかなアフリカンプリントが特徴

アフリカへ行きたい!でも現実は甘くなかった

そこからすぐにウガンダへ?

仲本:現実はそう甘くありませんでした。NGOの募集は新興国での支援経験が求められましたから。いろんなNGOに応募しましたがことごとくダメでした。やはり遊びではないのでスペシャリストがほしかったのだと思います。

 ただ運よく農業支援を手掛けるNGOから「アフリカ現地ではないけど東京オフィスで働かないか」とお誘いをいただきました。NGOの経営企画や人事、経理などの管理業務全般を担えたことも良い経験になりましたし、出張でアフリカに足を運ぶ機会も得ることができました。

 ケニア、エチオピア、ナイジェリアなど10カ国以上は訪れましたが、いろんな国を見た結果、ウガンダを何とかしたいと考えるようになりました。約2年半の下積みを終え、14年にウガンダ駐在になったわけです。

農業支援のNGOを辞め、布バッグを手掛けるスタートアップの起業に踏み切ったきっかけは?

仲本:これは本当に偶然の賜物でした。現地の課題を探そうとローカルマーケットを散策中に、色鮮やかなアフリカンプリントの布が天井まで積み重ねられている光景を目の当たりにしました。一目見てかわいいと思いましたね。

 ウガンダ在住の日本人女性に話題を振ると、彼女たちはアフリカンプリントの布を購入して服を仕立てていた。私だけでなく他の日本人女性もかわいいと思っていたので「この生地でバッグを作ればビジネスになる」と感じました。

ウガンダ現地では貧困に苦しむシングルマザーなどを積極的に雇用する(写真:仲本千津)
ウガンダ現地では貧困に苦しむシングルマザーなどを積極的に雇用する(写真:仲本千津)

仲本:ただ私だけでは起業はできません。そう考えているときに1人の女性に出会いました。彼女は4人の子供を抱えるシングルマザーだったのですが、定職はなく畑を耕すだけの生活をしていました。

 彼女は子供の教育費用を稼ぐために豚を飼っていました。「豚貯金」をしていたわけです。豚は繁殖能力が高く、エサも残飯で済みます。「真面目だしビジネスセンスがある」と思い、起業メンバーに勧誘しました。

 幸運だったのは同時期に日本人の知人から引退を考えている縫合職人を紹介してもらったり、工房となる場所を提供してくれるスリランカ人に出会ったり。とにかく偶然が重なって起業の準備がトントン拍子で進みましたね。そこからは半年間、ひたすらサンプルづくりの日々に追われました。

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