今後、メルカリを世界的なサービスに育てていくために足りない要素は何でしょうか。

山田:う~ん、何ですかね……。欧米展開は確かに重要ですが、むしろ、組織の規模拡大による弊害にどう向き合うか、でしょうか。現在、国内のメルカリ事業に関わるエンジニアは100人強ですが、これが数百人、数千人と増えたときに、どんな体制を築くのか、僕にとって未知の領域になっていきます。

 僕は、メルカリを「テックカンパニー」として成長させていきたいと考えています。日本にもヤフーや楽天などIT大手はありますが、テクノロジー企業のイメージは乏しいですよね。一方、米国ではグーグルが登場して以来、IT業界のエンジニアの働き方や組織の在り方がガラリと変わりました。そういう存在に、メルカリを成長させたい。メルカリで働くことを誰もが憧れ、新たなテクノロジーで消費者に驚きを与え続ける企業を目指したいですね。

現在最も注目されているAI技術は、メルカリにとって違法品の出品対策以外にも親和性が高そうです。

山田:AIについては、メルカリのポジショニングはとても良いと考えています。技術的には、出品物をスマホで撮影しただけでブランドを推定できるようになりますし、ビッグデータをAIが分析して、出品する際のカテゴリーや価格の設定をこちらから提案すれば、出品率や売却率を高められるようになります。

 さらにIoT(モノのインターネット)やブロックチェーン、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)など、現在最先端と呼ばれるテクノロジーは僕らのビジネスと密接にかかわってくる。投資のレバレッジが利きやすいポジションにいます。社内で研究開発体制を強化していますし、大学など外部との共同開発も検討しています。

海外には絶対打って出るべき

IT分野で見ると、世界でブレークした日本発のサービスはほとんどありません。何が課題になのでしょうか。

山田:日本は国内市場が大きく、外に出ていくモチベーションが湧きにくいのが問題だと思っています。ただ、世界の市場は日本と比べて桁違いに大きい。絶対に出ていくべきです。誰かが成功すれば「私もできるんじゃないか」と、後に続く人が増える。そういう流れを、メルカリで作りたい。

 起業にしても、日本ではリスクを過大に捉えすぎだと思います。失敗しても、今や誰も責めません。私自身、スタートアップを支援していますが、投資家は失敗を「ナイスチャレンジ」と評価します。

 無理だと言われても、挑戦してみたら意外にできることもあります。世界で成功するコツをつかむまでは大変でしょうが、僕らは粘ってみせますよ。

新たな道を開いていくのはお好きなタイプなのですね。

山田:ははは(笑)。そういう視点で考えてこなかったですが、可能性があるなら挑戦したい気持ちは強いです。誰かができることをやっても仕方がない。誰もやってないことこそ挑戦する価値がありますね。