山田さんを「シリアルアントレプレナー(連続企業家)の第一人者」と見る向きもあります。スタートアップのゴールについては、どう考えていますか。

山田:上場だけでなく売却という選択肢も持つべきでしょうね。ウノウを売却先した米ジンガは当時ソーシャルゲームの世界最大手でした。『世界に打って出られる』と思い、売却したわけです。当時はもう一度起業しようなんて考えてもいませんでしたしね。

 僕自身はシリアルアントレプレナーだとは思ってないんですけどね。起業したのは2社だけですし。全然、シリアル(連続)じゃない(笑)。もちろん(ゼロから事業のタネを育てる)『ゼロイチ』が得意な人はいます。シリアルアントレプレナーが増えるのは社会が豊かになる可能性が増えるので歓迎です。

 ただメルカリについては売却の選択肢はまったくありません。CEOというポジションにもこだわりはない。僕自身、誰かにCEOを譲ってサービス拡充や海外展開にまい進する可能性もあります。メルカリはそれだけのポテンシャルがある企業と信じています。

CtoCのノウハウは一朝一夕に築けない

米国事業に注力していますが、海外をどうやって攻略しますか。

山田:開発体制を含めた現地化に尽きるでしょう。フェイスブックやグーグルといった米IT大手は、米国から全世界にサービスを展開しています。僕らが米国に進出した3年前は、日本から米国向けのサービスを開発していました。しかし、それでは現地の声を全然吸い上げられないので、徐々に現地へエンジニアを赴任させるようになりました。現在はさらに踏み込んで現地採用を加速しています。

米国ではアマゾンやフェイスブックもCtoCに攻め込んでくるかもしれません。

山田:日本でもフリマアプリには、ヤフー、楽天なども参入しているので、ライバルが多いのは変わらないですよ。ただ、米国勢が運用体制やカスタマーサポートなどを僕らほどうまく作り込めるというイメージは湧きませんね。

 米国勢が得意とする領域はメルカリとは違います。フェイスブックなら人と人のインタラクション、グーグルだったら検索をコアにしたアルゴリズムです。これまで日本や米国でCtoCのノウハウを培ってきた僕らに、一朝一夕に追い付けないでしょう。

6月にフェイスブック幹部のジョン・ラーゲリン氏をCBO(最高事業責任者)として招聘したのはなぜですか。

山田:今春から僕自身も米国に乗り込んでいますが、採用やマーケティングに限界を感じていました。そんな中、ジョンのことを思い出しました。彼は古い友人なのですが、現地で食事を何度かするうちに、「一緒にやろう」という話がまとまりました。

 ジョンが来たことで、採用面が一番変わりましたね。彼はグーグルにも在籍していたことがあり、一流のIT企業から多くのエンジニアが彼を慕って入社してくれています。彼らのおかげで、サービスやマーケティングの質が徐々に高まっています。

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