メルカリは多くの人に使われるようになりましたが、最近では現金や盗品など不適切な出品が増えており問題視されています。

山田:これまではスタートアップとして生き残るのに必死で、できる限り自由度を大きくして多くのユーザーを取り込もうとしてきました。その半面、現金の出品など想定外の事態が起きてしまいました。出品停止などの対応をしてきましたが、心のどこかで「僕らは、まだ小さなスタートアップなんだ」という意識があったことは事実です。

社会的な影響に気付くのが遅すぎた

すでにメルカリはインフラのようになっていますからね。

山田:そう。社外からは、既にメルカリは巨大なプラットフォームだと見られているにもかかわらず、想像以上に大きくなった社会的な影響力に気付くのが遅すぎました。それは、本当に反省すべきことです。各省庁やお客様、取引先など全てのステークホルダーの考えをくみ取って、適切に対応していきます。

 当然の話ですが「盗品が売られていいのか」と問われれば、ダメに決まっています。現実的に防ぐ方法を考え、対応を進めています。これまでの自由度が損なわれて利用者が減るのではないかという懸念も聞きますが、普通に使っているお客様には大きな影響は及びません。むしろサービス改善につながる可能性もあるとポジティブに捉えています。

そのためには、煩わしい本人確認の導入も致し方ないと。

山田:長期的な方向性としては絶対に必要でしょう。むしろ、世界中の決済サービスが、個人情報を適正に管理することで利便性の向上につなげています。

 僕らも今年6月から、銀行口座などの個人情報を登録してもらい、1カ月の支払いを翌月にまとめる『月イチ支払い』というサービスを試験運用してきました。メルカリのアカウントと銀行口座がひも付くことで本人確認もできます。メルカリを信頼していただくのが前提になりますが、将来的にはメルカリに蓄積された信用情報を外部にも利用してもらって利便性をより高めることなども考えられると思います。

違法な出品への対策には大きなコストがかかりませんか。

山田:現在は社内の人海戦術や社外からの通報に頼っていますが、AI(人工知能)など最新技術の活用も進めていきます。テクノロジーを活用すればコストが跳ね上がることはないでしょう。

国内の規制がビジネスの実態に追い付いていないという面はありませんか。

山田:確かに、規制が技術の進化に追い付いていない面もあります。ただ、現在のルールを守りながらでも挑戦できることはあります。政府内でもフィンテック支援への機運は高まっており、状況は変わりつつあると感じています。

上場計画がこれまで何度も取り沙汰されていますが。

山田:特に決まっていることはないというのが模範的な回答です(笑)。実際、上場がゴールとは思っていません。資金調達のいろんな選択肢の一つです。

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