今年16回目を迎えた「日本イノベーター大賞」(主催:日経BP社、協賛:第一三共)の受賞者が決定した。

大賞  山田進太郎氏 メルカリ会長兼CEO
「フリマアプリ『メルカリ』で、新たな中古品流通市場を創造」
優秀賞  川本栄一氏 川本技術研究所代表
「水洗い掃除機ヘッド『スイトル』の技術を考案」
優秀賞  長沼真太郎氏 BAKE会長
「『1ブランド1商品』の新たな菓子ビジネスを構築」
特別賞  仲本千津氏 RICCI EVERYDAY COO
「布バッグでウガンダのシングルマザーの自立を支援」
ソフトパワー賞  古屋雄作氏 脚本家
「『うんこ漢字ドリル』で多くの小学生の学習意欲を改善」

 受賞者の素顔を紹介する連載の第1回は、大賞のメルカリ・山田進太郎会長兼CEO(最高経営責任者)。13年にメルカリを創業し、同名のフリマアプリの開発を主導。アプリのダウンロード数は国内で6000万、米国で2500万ダウンロードを突破しており、若い世代を中心に圧倒的な支持を集めている。

 日本で数少ないユニコーン企業(非上場で時価総額10億ドル以上)とされる。山田氏は、「シリアルアントレプレナー(連続企業家)」としての顔も持つ。スタートアップ投資の「メルカリファンド」も設立し、CtoC(消費者間取引)の市場規模拡大に向けた取り組みにも力を注ぐ。

 急成長するメルカリだが、違法品の出品などの課題もある。米国を中心とする海外展開も道半ばだ。山田会長兼CEOに、メルカリのこれまでとこれからの可能性を聞いた。(聞き手は東昌樹=本誌編集長)

<表彰式に読者の皆様を無料でご招待>
表彰式は12月5日(火)午後5時から「コンラッド東京」(東京都港区)で開催いたします。観覧ご希望の方は、以下のURLからご応募いただけます。定員(200人)に達し次第、締め切らせていただきます。

http://business.nikkeibp.co.jp/innovators/

フリマアプリ「メルカリ」のサービス開始から4年がたち、中古品流通の新たな市場をけん引しています。創業当時から現在の状況を予測していましたか。

山田進太郎会長兼CEO(以下、山田):インターネットを使ったCtoC(消費者間)取引に将来性を感じたからこそ始めたサービスですから、市場は大きくなると思っていました。ただ、事業の拡大とともに思い描いていた以上にサービスの広がりが出てきましたね。やればやるほど、「あ、こういうこともできるんだ」と、可能性が広がり続けています。CtoCという事業領域を選んだのは、ある意味、ラッキーでした。

メルカリの山田進太郎会長兼CEO(最高経営責任者)。1977年生まれ。愛知県出身。東海中学校・高等学校を経て、早稲田大学教育学部に進学。大学在学中に楽天で「楽天オークション」の立ち上げなどに携わる。大学卒業後の2001年ウノウを創業。「まちつく!」などソーシャルゲームでヒットを生む。10年にウノウを米ジンガに譲渡。12年に退職後、世界一周の旅を経て13年メルカリ創業。17年4月から現職。(写真撮影=吉成大輔、以下同じ)

山田:メルカリより前にもCtoCのサービスはありました。ただ、パソコンなどのガジェットや本、女性のファッションなどの取引が中心で、僕はそれをオールジャンルでやれば、すごく大きなビジネスになると考えました。実際、次第にトイレットペーパーの芯を集めて出品する人や、子供が拾ったドングリを売る人なども出てきて、とんでもなく面白いことが起こりつつあると実感しました。その良さをできるだけ殺さないように、自由なプラットフォームとして運営してきたのが、すごく良かったところだと思っています。

中学で出世はあきらめた

メルカリは今や「ユニコーン(時価総額が10億ドル=1100億円を超えるスタートアップ)の代表格」と呼ばれるまでに成長しました。起業家になるという思いは昔からあったのですか?

山田:その部分はよく分からないところもありますが、振り返ると中学・高校時代の経験が大きかったのかもしれません。名古屋出身で東海中学・高校という中高一貫の男子校に入学したのですが、本当にとてつもなく頭のいい人たちばかりでした。進学校がたくさんある東京であれば僕と同じような学力の友人が集まったかもしれませんが、名古屋だと東海に集結してしまいます。

 しかも同級生は、勉強だけでなく、スポーツ万能だったり、リーダーシップに優れたりする人ばかり。早々に挫折しました。まっとうに勝負したらダメだと思いましたね。大企業に入って出世するのはあきらめよう、医者になって成功するのも無理だなと。

中学生で出世をあきらめる?早いですね。

山田:代わりに自分なりの『山』を探して登ろうと決めたのは覚えています。小説家や建築家を目指したこともありましたね。建築家はかなり長い間本気で考え、高校では理系を選択しました。ですが、受験勉強を進めるなかで科学や数学で頂点を目指すのも難しいだろうとあきらめましたね

 最終的に『ビジネスなら自分で好きなことを見つけて挑戦できる』と考えたのが起業を志したきっかけです。高校3年生から大学1年生のころだったと思います。