「どんなことがあっても絶対に緩みません」
 東京・港のとあるアパートの一室。そう言われて手渡されたのは、ボルトに2つのナットが付いた大きなネジの模型。NejiLaw(ネジロウ、東京都江東区)が開発した緩まないネジ、「L/Rネジ」だ。
 2010年に米航空宇宙規格(NAS)に準拠したネジの耐久試験をしたところ、合格ラインの17分をはるかに超える3時間たっても全くネジは緩まない。それどころか、試験装置が先に壊れた。
 「2000年のネジの歴史を変えた」
 耐久試験の噂は瞬く間に広がり、東京都ベンチャー技術大賞、かわさき起業家大賞、グッドデザイン賞など様々な賞を総なめにした。
 この緩まないネジを発明したのは、ネジロウ社長の道脇裕氏。10歳頃には「今の教育システムに疑問を感じる」と小学校を勝手に“中退”し、それ以来、学校にはまともに通っていない。子供時代は大学教授だった母親の研究室で実験などにふける毎日を過ごした。学歴はゼロに等しい。しかし、その発想は余人の追随を許さない。
 “小学校中退”の天才発明家。その破天荒な人物像に迫る。