日本は同族経営を批判する人が多いけど、あたしは創業一族じゃないとできないことがあると思う。

 同族経営者もサラリーマン経営者も、会社をつぶしてしまうかもしれない恐怖と闘っている。ただ、サラリーマン経営者は、代々の経営者が築き上げてきた大きな資産を自分のせいで失うかもしれない恐怖から、守りに入ってしまう。これは当然のことだと思う。

マツコ・デラックス
(コラムニスト、エッセイスト、タレント)
1972年、千葉市生まれ。日本テレビ「月曜から夜ふかし」、テレビ朝日「夜の巷を徘徊する」、TBS「マツコの知らない世界」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などに出演。トヨタのテレビCMにも登場し、豊田章男社長とも親交がある。

 何か変革を起こしたり多大な投資をしたりするのは、サラリーマン経営者には難しい。同族経営者なら、会社をつぶしてしまっても、一族で責任を取るという腹のくくり方ができる。

 でも、トヨタ自動車が傾いたら日本は終わり。それをしてしまった人は戦犯なのかもしれない。日本経済全体を揺るがしかねないほど大きな会社のかじ取りを、豊田章男という人はしている。その孤独と葛藤は、あたしなんかには計り知れないほど大きなものだと思う。

 モータースポーツに参戦したり、水素エネルギーのエコカーに大きな投資をしたり、章男社長は無駄になるかもしれない投資をいっぱいしている。でも、無駄になるかもしれないものと宝になるかもしれないものって、実は表裏一体。リスクを取らないと、その先のビッグビジネスにはつながらない。

 章男社長がドライバーとしてレースに参加するのを批判する人もいる。「社長があんな危険なことをして、何かあったらどうするんですか」と。でもあたし、自動車ってそういうものだと思うの。人をあやめてしまうかもしれないもの。だから章男社長は、命の危険があるのを承知の上で、モータースポーツに挑戦している。いいクルマとはどんなクルマなのかを見つけるために。

 結論なんて永遠に出ないのかもしれない。でも、自動車会社の経営者が自動車と極限まで向き合うのって当然じゃない? 章男社長を珍しいなんて言っている人の方が、「ちょっとズレているかもしれませんね」って思う。

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