お客様の「お困りごと」で検索キーワードを最適化

福田:今までの人材サービス業では、企業の規模、知名度、登録者数、求人数などが競争優位性だったと思います。量的な指標よりも、求職者それぞれとのエンゲージメントを今後は重視するということでしょうか。

マルケト社長
福田康隆(ふくだ・やすたか)氏

1972年生まれ。大学卒業後、日本オラクルに入社し、セールスコンサルタントとして勤務。2001年に米オラクル本社に出向し、営業職に従事。04年米セールスフォース・ドットコムに転職。翌年、同社日本法人に異動。以後9年間に渡り、専務執行役員兼シニアバイスプレジデントを務める。2014年6月マルケト入社と同時に代表取締役社長に就任。(写真:清水盟貴)

岩嶋:そうですね。もちろん量的な指標と合わせてですが。先日、鉄道車内で見かける広告のブランド名について社内で質問してみたところ、ほとんどの人がよく覚えていないという結果が出ました。競合会社の広告は気にかけていても、ほかの業種になるとあまり記憶に残らないわけです。

 この結果は、検索エンジンの使い方とも関係があります。仕事を探している方々は「アデコ」という社名やブランドよりも、「霞が関」「マーケティング」「部長」といった単語で検索するわけです。ブランド認知度は重要ですが、デジタルではブランドとの接点が作りにくい。年齢が若くなればなるほど、この傾向は顕著です。ブランドを伝統的な広告宣伝の形で露出するのではなく、メール、ウェブ、ソーシャルを統合的に強化すれば、ブランドの資産価値は高まるはずです。

福田:岩嶋さんが以前勤務していたコニカミノルタでは、製品情報だけでなく、顧客のどんな悩みを解決できるかを訴求するコンテンツを提供し、関係を築くと聞いています。アデコに移ってから、エンゲージメント獲得でどのような工夫をしていますか。

岩嶋:ウェブサイトへ誘導する際、通常は一般的なキーワードでSEO(検索エンジン最適化)対策をします。ですが、お客様がどんな場面、どんな気持ちで情報を探しているか、本来は「お困りごと」がキーワードになるはずです。企業視点ではなくお客様視点で、どんなキーワードならばより接点が広がるのか、設計を始めました。

 「ソートリーダーシップ(Thought Leadership)」も、エンゲージメント向上のための取り組みの一つです。世界最大の人材サービス会社として、より広い視野で雇用・労働に関するコンテンツを作成し、今後の人材サービス業が直面するのはどんなビジネス環境か、変化に適応するために何が必要かなどを発信しています。

福田:ソートリーダーシップでは、どんな取り組みを重視しているのですか。

岩嶋:例えば、「Power of Work」というサイトでは、「組織」「仕事の未来」「働き方」といったテーマを設け、ダイバーシティーマネジメントや無期雇用派遣といった雇用・労働のトレンドについて有識者への取材も交え紹介・解説しています。