クラウドではなく、「エッジ」での解決を重視

福田:コニカミノルタが顧客に提供するソリューションのうち、実際に生産性の向上につながる事例としてはどのようなものがありますか。

山名:今後、市場投入を予定しているのが、3月に独ベルリンで発表したエッジIoTプラットフォームの「Workplace Hub」です。エッジ型は現場で散在するデータを集約し、リアルタイムで分析するのが特徴です。

 すべてのデータをクラウドに集約しないのは、セキュリティーや処理スピードを考慮すると不適切な場合があるからです。「Workplace Hub」の狙いは、オフィスで働く人の動き、設備の使い方、印刷物などの多様なデータを集約し、現場で働く人の生産性向上やオフィススペースの有効活用などの課題解決に役立てることにあります。

コニカミノルタが展開を予定する「Workplace Hub」。画像はもちろん、オフィスなどの現場で散在するデータをすべて集約して解析するハブとなる
コニカミノルタが展開を予定する「Workplace Hub」。画像はもちろん、オフィスなどの現場で散在するデータをすべて集約して解析するハブとなる

 例えば、製造プロセスの自動化では、最終工程の人が目視で行う外観検査がボトルネックとなっています。ここを自動化できれば、人間の負担が減るだけではなく、データ解析を通じて不具合が起こった場所まで分かるでしょう。機械と機械をつなぐことにとどまらず、効率化を通じてサプライヤーとの関係を変えるという課題解決に結び付くのがデジタル変革の本質です。

 また、医療分野では医療画像や調剤履歴などの患者データが別々に管理されているという問題があります。医療関連のデータもクラウドで解析するのがトレンドですが、個人のプライバシーに関わるセンシティブな情報は、現場(エッジ)での処理が正しいやり方だと思います。

 現場重視という意味では、介護施設でも同じことが言えます。現在、介護士の仕事の負担が大きすぎることが社会問題化しています。介護士にとって一番の心配は介護される方の転倒などによる事故ですが、人間が24時間付きっきりで見守りをするのは現実的ではありません。そこで、部屋の中の入居者の行動を天井に設置したセンサーで監視し、介護士のスマートフォンに行動の変化を知らせる「見守りシステム」の事業化を昨年から始めています。

 このように、オフィスや工場のほか、病院や介護施設など、あらゆる場所で働く人の負荷を減らす生産性向上は可能です。とかく人材不足の解消に注目が集まりがちですが、もっとクリエーティブな方向に人間の能力を使うことにデジタルを役立てたいと思います。

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