文化の生まれる場所がなくなった
当時と比べると、広告業界の勢いも落ちています。今はどこからカルチャーが生まれるのでしょうか。
林:どこですかね、本当に。ホリエモン(元ライブドアの堀江貴文氏)といった人には、何かもっとやってほしいと思います。
ただ、ユーチューバーから文化が生まれるかというと私は違うと思います。「これは自己表現じゃないだろう」という感じが、私はするんです。本当に困っちゃいますね。どこにあるのか、誰が創ってくれるのか……。
そうは言っても、そのうちIT業界の経営者が何かを仕掛けてくれるんじゃないかと私は期待しています。皆さん、超高学歴ですからね。
企業が主体となってカルチャーをつくることそのものが、もう難しいのでしょうか。
林:企業にはもっと活動してほしいと思いますが、体力がないのでしょうかね。資生堂なども、昔ほどは「メセナ」と言わなくなりましたよね。
もう、消費者が自分で勝手にやって、という感じなのかもしれません。今は、情報発信の方法も昔とは全然違いますから。
私が登壇したセミナーの参加者に聞いたら、最近はみなさん、新聞はもちろん読んでないし、テレビも見ていませんと言うんです。「LINEニュース」だけを見ている人が多い。そういう世の中で、企業が何かを発信するのは、すごく難しいのだと思います。
マスメディアというものがこんなに衰退していく世の中です。私は雑誌の全盛期を知っているから、最近の雑誌の発売実数を知ると驚きます。
堤さんが今の世の中を見たら、やっぱり非常にがっかりされるんじゃないかなと思います。
このIT社会からそろそろ何かが生まれてもいい。私はそう願っているんですけれどね。ユーチューバーはちょっと違う。けれど、もっと何かが出てきてほしい、と。
堤さんは、自分のデパートだったから、あんな挑戦ができた。堤さんのような人に会えたというのは、本当によかったなと思っています。
Powered by リゾーム?