アノニマスを徹底した無印良品

永江さんは、無印良品のどういった点を評価しているのでしょうか。

永江:無印はアノニマス(匿名)であることに徹底的にこだわり続けているわけです。

 無印良品とユニクロが似て非なるのは、ユニクロは「記名性」というか、「商標」を大事にします。けれど、無印良品は商標やデザイナーの名前を出しません。出さないけれども、なぜかポロポロとその情報が漏れてくる。それがどこまで戦略的なのかは分かりませんが。

 例えば、無印良品では、お鍋のデザインを(ロンドンの著名プロダクトデザイナーである)ジャスパー・モリソンデザインが手掛けていました。もちろん、無印良品のサイトには、彼のデザインであることは書かれていません。けれど、ジャスパー・モリソンのサイトを見ると、無印良品の商品が出てきます。

 アノニマスであるけれど、ジャスパー・モリソンに対してそれをデザインしていることを「絶対に公表するなよ」というふうにも言わないわけです。

 たとえ無印良品が1つのブランドになってしまったと言われても、商標は一切表に出さない。そういう点は匿名性を徹底していると思います。

堤清二氏は多様な事業を手掛けましたが、最後にたどり着いた答えが無印良品だった、と。

永江:無印良品は西友のプライベートブランドとして始まったので、アノニマス(匿名)であることが、どの時点でどこまで明確に意識されたかはよく分からないんです。

 無印良品のコンセプトは、田中一光さんや小池一子さんがディスカッションする中で明確になっていったそうです。あの進め方も、東ヨーロッパの評議会社会主義のやり方なんですよね。社会主義の評議会のように、みんなで合議して決める。堤さんは、本当に最後まで左翼だったんだなと思いました。