セブンがミレニアムを買ったワケ

セブン&アイ・ホールディングスは2006年、そごうと西武百貨店を運営するミレニアムリテイリングを買収しました。どんな思いでM&A(買収・合併)に踏み切ったのでしょうか。

鈴木:相手企業の事業内容などを調べて、よかったら買収するというのが、定説になっていますよね。けれど、僕はそうじゃないと思っています。

 買収される側の力ではダメなものを、価値のあるものに育て上げること。そうでないと、M&Aの意味はありません。1990年代に経営破綻した米セブンイレブンの運営会社であるサウスランドを私たちが買収しましたが、彼らは多額の負債を抱えていました。

 だけど、僕は自分でアメリカの店舗の立地を見て、これから伸びると確信していた。自分たちがやれば再建できるという感覚を非常に強く持っていたんです。だから伊藤(雅俊)さんにも「大丈夫ですよ」と説明して買収しました。借金も早期に返済しました。

 そごう・西武百貨店の場合も、買収後に経営の改革を進めてきました。

 ただ、立て直すには少し時間がかかるだろう、業績悪化を止めてパッと上がるわけにはいかないだろうと思っていました。このままではやっぱりダメになると、みんなが気づくこと。

 そこまでは我慢しなくちゃいけないというのが、僕の考え方でした。過去の成功体験によって解決しようと思ってもうまくはいかない。

鈴木さんが、セブン&アイの経営を退き、名誉顧問になってから3年目ですが、そごう・西武は、今なお業績が低迷しています。

鈴木:私がいた頃、(問屋任せではない)自主マーチャンダイジング(商品政策)を強化し始めました。当時のそごう・西武の経営者は、これで何とか行けますということを言っていました。新しいことに、挑戦し続けなければなりません。

次ページ 「堤さんも僕も大衆心理を理解していた」