今年8月、「マック」か「マクド」か、という内容のキャンペーンを実施しましたね。マクドナルドの略称がマックなのかマクドなのか。東京、大阪対決でそれぞれの特徴を出したハンバーガーなどの商品も販売。顧客の投票の結果、マクドが勝ってホームページのカサノバ社長からのメッセージが関西弁に書き換わっていたのはとても面白かったです。足立光マーケティング本部長はインタビューで、「マーケティングが意外と自由にできる」と話していました。日本法人ではどの程度、裁量権があるのですか。(関連記事:「裏メニュー」「チョコポテト」誕生の舞台裏

カサノバ:マクドナルドではメニュー、プロモーション、店舗デザインなどで枠組みが決まっています。その範囲であれば自由にできます。メニューに関しては全世界で決められたコア商品と各ローカルで決めたコア商品があります。グローバルで決められたコア商品には「ビッグマック」「ダブルチーズバーガー」「チキンマックナゲット」「フィレオフィッシュ」などがあり、絶対にレシピを変えてはいけません。

 一方、ローカルコア商品は日本では「てりやきマックバーガー」や「えびフィレオ」などがあります。日本ローカルですが定番商品です。実際、「えびフィレオ」は私が日本マクドナルドのマーケティング本部長だった2005年に発売していますが、米本社の承認は必要ありませんでした。今年4月、日本で8年ぶりに定番商品「グラン」シリーズを発売しました。これも承認は必要ありません。

今年1月に改装した東京都中央区の「晴海トリトン店」。レイデザインと呼ぶ店舗デザインを採用している(写真:竹井 晴俊)
今年1月に改装した東京都中央区の「晴海トリトン店」。レイデザインと呼ぶ店舗デザインを採用している(写真:竹井 晴俊)
[画像のクリックで拡大表示]

極端に言えばハンバーガー以外の商品、例えばカレーライスを販売することもあり得ますか。

カサノバ:ハンバーガー以外の商品も販売は可能です。ただし、それは私たちの本質とはちょっと違っていると思います。ハンバーガーレストランですので、お客様もハンバーガーとポテトを求めてお店にいらっしゃいますから。もし、お客様からの要望が強ければそのとき、検討しますが、実際にはこうした声はあまりいただいていないですね。

商品以外、プロモーションなどでは米本社との決まりごとなどありますか。

カサノバ:ある程度のガイドラインはあります。マクドナルドはファミリーレストランで、ブランドと合致したプロモーションをしないといけませんから。一方で、米本社を含めグローバルのマクドナルドが日本のプロモーションには非常に興味を持っています。キャンペーンの内容、モバイルアプリで実施している内容など、とてもユニークでクリエイティブだと注目を集めています。特にSNS(交流サイト)での取り組みについてです。(関連記事:ヘイト超える“マック愛”、ツイッターで大拡散

店舗数は今後、増やしていく

長期的な、例えば5年、10年後の日本マクドナルドの姿をどのように描いていますか。

カサノバ:日本マクドナルドはまだまだ「のびしろ」はあると思っています。事業をさらに拡大するために、これからも店舗、人材に投資をしていきたいと考えています。店舗数も拡大していきます。これらの成長計画については今後、具体的に詰めていきますが、お客様の声を聞き、時代の変化、テクノロジーを取り入れながら、成長していく方針に変わりありません。

米本社は15年に発表した再建計画を進める中で、保有する日本マクドナルドHDの株式を売却する方針を打ち出しました。最終的に売却案は凍結しましたが、この一連の動きに対してどのように感じていますか。

カサノバ:売却案を凍結した際、日本に正しいプランがあり、成長を見込めることを発表しました。米本社の意思決定に関して私が代弁をするわけにはいきませんので、日本市場に集中したいと考えています。

業績の悪化を受けて、一時期は上場を廃止した上で再建に取り組んだほうがよいのではないか、との意見も投資家にはあったと聞いています。検討したことはありますか。

カサノバ:そのようなお話は全くしたことがありません。

次ページ 回復期から長期成長段階に移行している