待遇以外でクルーのモチベーションを高める活動は何かしていますか。

下平:例えば永年勤続に対して表彰をするとか、コンテストをして表彰するなどですね。「AJCC(All Japan Crew Contest)」と呼ぶ、13万人の頂点を決めるクルーの技能コンテストを開催しています。このコンテスト自体、モチベーションにつながると思いますし、表彰も重要なのですが、それ以上に、このコンテストに合わせて、クルー全員に対して同じ審査をすることが重要です。

 審査の結果、スコアのいい人がコンテストで勝ち上がっていくのですが、一部の人ではなく、全員を審査するという、全員参加の施策であることがクルー全体の質を上げていく、ボトムアップしていくということです。コンテストの本当の狙いはそこにあります。

 表彰されたクルーを見て、ああ、私もああいう風になりたいな、ああ、こんな風に変わったと思うはずです。

店舗自体について伺いたいのですが、チキン問題、異物混入問題が起きて消費者の信頼を落とした最中の2015年、まず閉店によって店舗数を適正レベルへと落としました。その上で計画していた店舗のリニューアルを前倒しして急ピッチで進めました。店舗改装には投資が必要ですが、業績が厳しい時にあえて投資をしたのはなぜですか。

苦しいからこそ投資が必要な改装を前倒しで進めた

下平:本来であれば好調時に次の手を打つべきですよね。ですが、次の手を打とうとした矢先に一連の問題が起きました。ですから、まずどこに投資をすべきか明確にする必要があり、優先順位を決めました。改装はやはりお客様の店舗体験を高めるために極めて重要ですので、ここは徹底的にやりました。

 フランチャイジー(FC加盟企業)との契約では、ある一定の年数ごとに改装をすることを決めています。これも契約で定めた年数に満たなくても、前倒しで積極的に改装を推進しました。昨年は555店を改装しました。

 売り上げ向上に対する効果もありますが、働くクルーに対する効果もあります。例えば今、導入を進めているのがDPS(デュアル・ポイント・サービス)と呼ぶレジカウンターの新しいシステムです。多くの方にとってお馴染みだったと思いますが、従前は、お客様がカウンターで注文すると、注文を受けたクルーがお会計をして、商品を用意してお渡ししていました。時間がかかる時はレジの脇でお待ちいただいて、商品が揃ったらお渡ししていました。

 デュアル・ポイント・サービスは文字通り、注文・会計と商品の受け取りの窓口を2つに分けたシステムです。注文後、お客様は番号を記載したレシートを受け取り、商品窓口の前でお待ちいただく。そこにはデジタルボードがあり待ち番号が表示され、自分の順番が分かります。

デュアル・ポイント・サービスのカウンター。写真右側が商品の受け取り口。デジタルボードに商品を受け取れる人と待ち状況を番号表示する(写真:竹井 俊晴)

受け取り口を分けるのはスターバックスコーヒーなどカフェ業態では一般的な仕組みですね。番号表示は市役所などの行政機関、病院の会計窓口などを連想させます。

下平:この仕組みを導入して、お客様にとってはほかのお客様が注文をする前なのか、商品を待っているのかが明確になりますし、番号のレシートがあることで、お待ちいただく際にどのくらい待つかが分かるなどのメリットがあります。

 クルーにとっては注文を受けることと商品のご提供を1人で同時にしなくて済み、動きが効率的で働きやすくなります。結果として注文を受けることも商品提供も迅速にできるようになりますからお客様に対してのサービス向上につながります。

ファストフード店にとって商品提供時間の短縮は永遠のテーマとも言えますね。

下平:スピードは私たちにとって一番の命と言えます。ですが、単純に秒数だけではない面もあります。そこはお客様の声を聞きながら進めています。

 昔は結構、秒数にこだわってオペレーションしていました。何秒縮まるか、これが大きくセールスに影響するかという考え方です。それも当然、あっていいのですが、それだけではダメですよね。今は、そこからもう1段階、上のレベルになっていると思います。