ラブ・オーバー・ヘイト

──マーケティングのミッションには信頼回復も含まれていたのですか。

足立:信頼回復のための活動は2015年に実施しましたが、16年からはキャンペーンや新商品で話題作りをすることで、悪い噂を打ち消していこうと考えました。私は「ラブ・オーバー・ヘイト」と呼んでいるのですが、よい話がたくさん出てくれば、悪い話は自然と薄まっていきますよね。

 もちろん、お客様からのご批判には誠心誠意、お答えしていく従来からの方針に変わりはありません。既にネットに上がっているお客様からのご批判や記事が、なくなることもありません。しかし、それらを受け止めた上で、再び成長を目指すのであれば、積極的に私たちの前向きな取り組みを発信していく必要があるでしょう。

「ラブ・オーバー・ヘイト」ーー。「悪意に満ちた風評や根拠のない噂を上回る、愛に満ちた楽しい情報を拡散する」と話す足立マーケティング本部長
「ラブ・オーバー・ヘイト」ーー。「悪意に満ちた風評や根拠のない噂を上回る、愛に満ちた楽しい情報を拡散する」と話す足立マーケティング本部長

──2015年、食品の安心・安全に一番、敏感な母親層、つまり“ママ”たちの信頼回復にサラ・カサノバ社長が先頭に立って取り組んできました。ファミリー層に対するマーケティングはどのようなものですか。

足立:マクドナルドのマーケティングは実は、客層ごとに細かく出し分けてはいません。ファミリー層をより、取り込みたいとは考えいますが、そこにフォーカスしたマーケティングは実はやっていません。

 マクドナルドに子供を連れて行くことに罪悪感があるなら、そこにはまだ悪いイメージが残っているということです。ですので、楽しいニュースを次々に発信し拡散して、世の中にマクドナルドに対する良いイメージをあふれさせようと考えました。最近のマクドナルドは「何かいいかも」「楽しいかも」という気になって、しかも、みんなも行っているとなれば、悪いイメージや罪悪感は薄らぐはずです。

──ファミリーと言えば、何といってもハッピーセットだと思います。子供は景品を喜びますし、親も連れて行って買ってあげたいと思う。今年はハッピーセット30周年ということですが、何か特別な手は打っていますか。

足立:ハッピーセット自体を魅力的にすることに加えて、ハッピーセットのおもちゃがどんな動きをするか、動画で伝えることなどをしています。

 もう1つはハッピーセットのキャラクターとハッピーセット以外の商品を絡めることです。例えば、「ピカチュウ」のフルーリー(クッキーをソフトクリームに混ぜ込んだデザート商品)を販売しました。「ピカチュウ」のハッピーセットを買った人がその商品を見れば、買っていただけるのではないかと思います。

 あとはイベントですね。ハッピーセットは商品でしかないので、イースターやこどもの日などにイベントを打って来店していただく。私たちは店舗体験と呼んでいますが、それが重要になりますね。

 こうした一連の取り組みで全体的なマクドナルドの評判が上がりました。何となく「今なら、子供を連れて行っても安心よね」と思っていただけるような空気感が作れたのが一番、大きいと思います。

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