経営は、らせん階段のようなものだ

個人間の荷物のやり取りとしてスタートした宅急便ですが、ネット通販の拡大に伴って、企業から個人へ送る荷物が大半を占めるようになり、宅急便事業の構造が変わりつつあります。加えて、ドライバーの人手不足が深刻化し、長時間労働を是正すべく、現場の働き方改革も進めていかなくてはなりません。経営トップにしてみれば、極めて厳しい状況のはずです。

高島:企業には、改善を重ねて成長するフェーズと、一度つくったものを壊して別のものをつくるフェーズがあります。どのタイミングで、どちらを実践するのか、経営トップは決めなくてはなりません。

 経営とは、らせん階段のようなものだと思います。ベンチャー企業の経営トップをしていると、オペレーションのミスばかりでお客様に迷惑をかけているから、サービス品質を安定させなくてはいけないとか、もう上場したからちゃんとしなくてはいけないとか、常にいろいろな方向に経営が振れたりします。そして、振れながら本体の勢いがなくなって、大企業のようになってしまう。

 きっとらせん階段のような状況は、大小はあれど、どの会社も同じではないでしょうか。その中で、「今、らせん階段のどちらに向かうのが良いのか」をしっかりと判断することが大切なのです。このまま上り続けた方がいいのか、それとも逆向きで上った方がいいのか。これを決められるのは経営トップだけです。

 小倉さんは当初、トラックの大口貨物に力を入れ、うまくいかずに小口重視へ指令を出したけれど、競争に乗り遅れてしまって、会社が潰れるかどうかという崖っぷちで、宅急便をスタートさせます。こう見ると、小倉さんだって、とても左右に振れながらやられてきたわけです。もしかしたら、経営とはそういうものなのかな。