ヤマトの現場に宿る小倉イズム

ヤマト運輸のサービスを見る中で、今でも小倉イズムを感じることはありますか。

高島:やはりセールスドライバー、つまり現場の力はすごいと思います。

 例えば“おせち料理”は、1月1日か12月31日に届けなければ意味がありません。1月2日に届いても価値はありませんからね。しかし、私たちもおせち料理を毎年、何万個と販売していますが、やはり途中で思わぬことが起こるケースはあるんです。破損してしまったり、ラベルが剥がれてしまったり。ヤマト運輸の場合、何かあると、「ラベルのはがれた箱が1個あります」などと、連絡を入れてくれることもあります。

 トラブルがあれば、当社も原因を突き止め、何としても年内におせち料理を届けるように頑張ります。採算を度外視してでも、です。

 ヤマト運輸は、こうした緊急事態の対応力や緊急時のホスピタリティにとても優れている。東日本大震災の後、計画停電が起こった時にも大雪で物流がストップしました。こんな危機的な状況で何とかしようと現場力を発揮するのは、やはりヤマト運輸の強みであり特徴です。確実に小倉イズムが受け継がれている。

「宅急便」をスクラップ・アンド・ビルドできるか

高島:私は小倉さんの文章を読んでいて、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文さん(名誉顧問)に似ているように感じることがあります。時代の変化に対応しなければいけないという意識を、お二人とも強く持っていた。

 小倉さんは宅急便を始める前から、創業者であるお父さんがやられたことを否定していた。さらには自分が打った手が相次いでつまづき、宅急便に進出せざるを得なくなっていく。変化するのがトップの仕事であり、変わることは義務、と言わんばかりです。

 ところが宅急便は、できあがったものが素晴らしすぎた。それだけに、これをスクラップ・アンド・ビルドしなければならないのは、これからの大きなチャレンジだと思います。