考え抜いた「KPI」が事業を変える

ほかに印象に残った部分はありますか。

村上:宅急便が誕生して、拡大するまでの思考方法は印象的でした。

 例えば宅急便を拡大する過程では、事業のKPI(重要業績評価指標)を大きく変えています。それまでの運輸業界では、トラックの荷台にどれだけ効率よく荷物を積み込むかという「積載効率」を重視していました。けれど宅急便では、荷物の積載効率よりも、セースルドライバーが担当するエリア内の荷物の「密度」が重要になる。小倉さんは自分の事業の本質を見極めて、何を優先すべきかを変えたのではないでしょうか。自分で考え抜いた結果のKPIだったのだろうな、と感じました。

こうした部分は事業内容が違っても、リブセンスの経営に役立ったのでしょうか。

村上:自分の頭で考えることとか、ビジネスモデルに応じた体制を整えることとかは、とても参考になりました。当社は、採用課金型の求人サイトという今までにないビジネスモデルで成長してきました。

 これまでのような掲載課金型の求人サイトの場合、「1人の営業マン当たりの売り上げ」が大切ですが、それが採用課金型になると「1人の営業マン当たり売り上げ」をやたら追っても実は全体の売り上げはさほど上がりません。KPIの置き方が旧来の掲載課金型モデルとは異なるわけです。

 ビジネスモデルの本質を理解して、それに応じたKPIを設定する。基本的なようですが、その視点を学んだのは『小倉昌男 経営学』でした。私は今も、KPIは何にすべきなのだろうとひたすら考え続けています。KPIの設定を間違えて失敗してしまった時期もありました。それでも諦めないで考え続けること。これは大変勉強になりました。

 そしてもう一つ、印象に残ったのが「大義」です。