本業はリース業、自分はお願いしているだけ

今、兄貴もいろいろな仕事を任せている人がいると思います。そういった方は、どのような観点から採用しているのでしょうか。

兄貴:実は違うんです。みんな勘違いしているんです。自分は関連会社社長はじめ社員さんにお願いをしてるだけ。所有する土地、建物、工場などを使ってもらって、何とか立派に育ててほしいというお願いをしているだけです。

 自分が採用指針など決めているわけではなく、社長が牽引してきた会社を応援し、工場や社屋、あるいは重機とかを借りてもらってきました。そもそも、ずっと借り続けてくれることを期待して土地などを買い取ります。リース業であることが前提です。

大城:そうなると兄貴の中では、マネジメントをしている感覚はないんですね。

兄貴:全然ありません。マネジメントしている人間は、現場に出ている人間なので、私は一度も、マネジメントはしていません。お願いの鉄人です。

大城:それが究極のマネジメントと言っても良いでしょうか?

兄貴:マネジメントで無くサービスを受けるお客さん、ゲストみたいなものです。もしも自分が事業的に切り盛りする社長なら、お客さんや社員に同じくお願いをして回る。社長ですし、得意先や現場にも社員さんを連れて回るでしょう。

大城:実際の現場を見せるということでしょうか?

兄貴:結果、人も社員も見よう見まねでしか育ちません。言うて聞かせて育った者を見たことない。長いこと見せて過ごした奴なら全部できるようになる。

基本はお客さんを大事にする、いい製品を作る

大城太
1975年2月8日生まれ。大学卒業後、外資系金融機関、医療機器メーカーで営業スキルを磨き、起業を志す。起業にあたり、華僑社会では知らない者はいないと言われる大物華僑に師事。厳しい修行を積みながら、日本人唯一の弟子として「門外不出」の成功術を伝授される。独立後、医療機器販売会社を設立。アルバイトと 2人で初年度年商 1億円を達成。現在は医療機器メーカーをはじめアジアでビジネスを展開する6社の代表および医療法人理事を務める傍ら、ビジネス投資、不動産投資なども手掛ける。2016年 3月より日経ビジネスオンラインにて『華僑直伝ずるゆる処世術』を連載。

大城:日本ではマネジメント理論の本などがたくさん出ていて売れています。ただそれを読んで、マネジメントをしようとしているのですが、結局できなくて、悩んじゃって、みたいな人が多くいます。最近では、そんなマネジメントが嫌で、出世もしたくないみたいな人も増えているんです。

兄貴:そもそも、お客さんを見つけ出し大切にするだけの事です。もしくはいい製品を生み出すこと。

 どっちかといったら、マネジメントというのは、お客さんが山盛りいたら、お願いすればいい。その方がより潤いをもたらす。

 全部、自分のところでやらないかんというのが間違いで、いろんなところにお願いをすればいい。分担をすること。それが日本のやり方と思ってきました。

 もともと業者さん、下請けさん、何十社という下請けさんが力合わせて、1つの製品をこさえてきた。合理主義流はそうじゃない。あれ買っただけ。これ安く買えたから良し。安くても高くても長年のお付き合いを大切にした取り組みでなければダメ。

大城:華僑の商売の鉄則にも、1人でビジネスをするな、というのがあるのですが、昔の日本人と似ていますね。

そういった日本が積み上げてきたものを信用しなくてはいけないのですね。

兄貴:自分たちで育てたもの。それを信頼できないような会社は寂れます。自分たちが育てた人、それが課長さんだったりしたら、その人に任せてみることや。それが明日の子会社の社長になられる方かもです。小さい事から任せてこなかった人に、社長を任すとつぶれる。