大城:これは孔子の言葉ですが、「清濁併せのむ」という古典があります。きれい過ぎる川には魚は生きられないよという意味です。やっぱり藻があり水があり泥がないと微生物もいないので住めないんですよね。だから悪いところをいかにのみ込んでやれるかというのが華僑のボスの教えです。

 基本的に、中国の場合は、昔からそうですけれども、法律、法律ってあまり言わない国なんです。話し合いの文化なので、悪いことをしたからすぐ捕まるというわけではなくて、その事情を聞きます。だからある一方の人から見たら悪いことでも、それはプロジェクトの達成から見たらいいことであるとすれば、目をつぶります。全部理詰めでしないというところはありますね。

井口:ちょっと雇うという話とずれますが、社内プロジェクトだったら社内から人を集めますよね。そういうときに、基本的に集めるのは勝ち組か勝ち組になるはずと思った人だけにしろとデニスさんは言います。例えばやんちゃをする人間。やんちゃなことをするというのは、工夫をいろいろしているわけですから、それは勝ち組になる可能性は十分にあるということです。

 逆に集めちゃいけないのが、泣き言とか文句ばかりを言う人。伝染性があるので、そういう人がいるとほかの人まで影響を受ける。そういう人はさっさと首を切れみたいなことを書いています。そのあたりは会社で人を採用するときもそうですし、プロジェクトで人を集めてやる場合にも、そうだろうなと思いますね。

<b>大城太</b><br />1975年2月8日生まれ。大学卒業後、外資系金融機関、医療機器メーカーで営業スキルを磨き、起業を志す。起業にあたり、華僑社会では知らない者はいないと言われる大物華僑に師事。厳しい修行を積みながら、日本人唯一の弟子として「門外不出」の成功術を伝授される。独立後、医療機器販売会社を設立。アルバイトと 2人で初年度年商 1億円を達成。現在は医療機器メーカーをはじめアジアでビジネスを展開する6社の代表および医療法人理事を務める傍ら、ビジネス投資、不動産投資なども手掛ける。2016年 3月より日経ビジネスオンラインにて『<a href="/atcl/opinion/16/022500005/">華僑直伝ずるゆる処世術</a>』を連載。
大城太
1975年2月8日生まれ。大学卒業後、外資系金融機関、医療機器メーカーで営業スキルを磨き、起業を志す。起業にあたり、華僑社会では知らない者はいないと言われる大物華僑に師事。厳しい修行を積みながら、日本人唯一の弟子として「門外不出」の成功術を伝授される。独立後、医療機器販売会社を設立。アルバイトと 2人で初年度年商 1億円を達成。現在は医療機器メーカーをはじめアジアでビジネスを展開する6社の代表および医療法人理事を務める傍ら、ビジネス投資、不動産投資なども手掛ける。2016年 3月より日経ビジネスオンラインにて『華僑直伝ずるゆる処世術』を連載。

大城さんが実際に人を採用するときはどこをポイントにするんですか。

大城:私はやっぱり華僑流ですね。履歴書がうそであってもいいと思って話をしています。裏を取らないです。結局過去を見ると未来の話ができなくなるんですよね。だから履歴書を見て例えば高学歴ばかり採用するかというとそうではありません。学生のときに彼は一生懸命勉強することを知らなかった。じゃあ、それで一生こいつを決めてしまうのか。例えば転職して前の会社がちょっと短かった。それでその人をはねる経営者も多いと思うんですけれども、じゃあ、こいつは昨日決心したかもしれない。子供が生まれたり何かして、何か気持ちが変わって思いがあるかもしれない。華僑流はみんなそうですね。昨日までのことをあまり気にしない。

逆に言うと、思いがない人間は採用しない?

大城:いや、どんな人間でも、ポジションがあります。会社にはできる人とできない人で一定の割外があって、できるひとだけ残してあとはリストラしても、また同じ割合でできる人とできない人が分かれる。だから、その人のポジションがあるんです。あえてできないから採用する。そうすれば今までいた人間が動き出すとか。

運は揺れるが引き寄せられる

では、次に運のことについて議論させてください。私たちは運に対してどう向き合っていけばいいのか。

井口:運って本当のところは誰にもわからないんです。運がいいような悪いような。当然、デニスさんもわかってない。でも運がよかったなと思うときもあれば、運がよくなかったなというときもある。運は揺れるものだと。

 ただ運が悪い、運が悪いとずっと言っていると、悪運というか不運を引き寄せるようなところもある。そのへんはやっぱり前向きに考えることが必要です。また、準備を整えれば運が回ってくるというような話もあります。幸運というのは準備に機会を掛け合わせたものだから、準備を怠ってはいけない。

次ページ 運がいい人にあやかる