華僑では人に任せるというのは、どうでしょう。

大城:華僑は完全に分業といいますか、絶対1人でやるなというのが鉄則です。1人でやらないのは結局、牽制機能のためなんですよね。悪さ、ずるをしないためという。別に性悪説でも、性善説でもどちらでもいいんですけれども、とにかく牽制機能がないと暴走したり、間違いを起こしたりする。そのときの訂正、修正を可能な限り遅らせないという考え方なので、複数人で絶対にやるということです。

片方が何か変なところに行っちゃいそうになると、そこを引き留める?

大城:そうですね。それと、仕事を任せた人が頻繁に入れ替わることに対して、あまり気にしません。例えば数百人の工場であっても、旧正月や旧盆の時期にまとまった休みがあって、従業員が国に帰ると、大勢が帰ってこなくなってしまう。従業員のうち3分の1が入れ替わるというのは普通なのです。経営者の方も辞めたり入ったりする行為に対して慣れています。

それだけ辞めるとマニュアルが必要となりそうです。

大城:いや、中国はマニュアルというのが得意じゃないんです。だから、簡単なことしか任せない。先ほどのお話と一緒で、華僑もやりがいを感じていればそのまま行くんですよ。いずれ同じ業界で成功してやろうと絶対思っています。だから、そういう話はトップが優秀な従業員に対しては、常にしているんです。自分ではいつぐらいにやるんだ、みたいに。だから、技術や経営などのノウハウは、すべてを盗まれるというのがお互い前提なんです。だから、マニュアル化はしないんです。そうなると完にパクられてしまうので。

ある程度は盗まれてもしょうがないからという考え方なんですね。

大城:そうなんです。だから本当の全体像はトップにしか見えないようにはしてます。

デニスさんもまねすることは悪いことじゃないと書かれています。

順番を替えれば新しくなる

井口:そうですね。誰も考えてないようなアイデアってまずないんですよね。人間だいたいみんなどこかで似たようなことを考えているので、自分が思い付いたんだとしても同じようなことは世の中にあったりもする。であれば世の中にあることをまねても別にそれはそれでいいわけです。

 アイデアも大事だけれども、アイデアだけでどうにかなるものではない。ある意味アイデアよりもそれをどう実現するかという実施の部分が大事なんだよ、という話を結構強調されてます。何から何まですべてパクるというのはひどいかもしれませんけれども、基本的にまねること自体は悪くないんだということです。

我々も、いいアイデアを出せなどと会議で言われたりしますが、まねることから始めた方がよさそうです。

井口:世の中にないものというのは、場合によってはそれがなかったのは需要がなかったからという可能性もあるわけです。ですから、新しければ何でもいいという話ではない。実際に事業として成立して、それも大きく成長していくみたいな話であれば、やっぱりニーズがないとどうしようもないですよね。

華僑はまねることに対しては、どのように考えますか。

大城:私のボスがよく言っているのは、順番を替えろということです。過去にあったことの順番を替えることによって、それが新しいものに変わる。歴史を繰り返すじゃないですけれども、絶対新しいものをつくり出すというよりも、加工することです。先ほど言われたよういに、全く新しいものというのは需要がない可能性が高いので、一発勝負、かけ勝負になります。そういうのはあまり好まないですね。

(明日公開の第3回に続きます)

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