イギリスの著名な大富豪フェリックス・デニス氏が、その経験をもとに「大富豪になるためのノウハウ書」として執筆した『本物の大富豪が教える金持ちになるためのすべて』(文響社)。その日本語訳を担当された井口耕二氏と“ずるゆるマスター”こと大城太氏の対談の第2回目。今回は、成功するために「動く」には、どのような秘訣があるかを語ってもらった。

大富豪になりたいのなら、動かなくてはならない。そこには失敗するという怖さもあるが、その怖さも乗り越えなくてはならない、というお話がありました。ただ、怖いという感情は人としてどうしようもない気がするのですが、それはどのように乗り越えるのでしょう。

井口耕二
1959年、福岡県に生まれる。東京大学工学部化学工学科を卒業後、出光興産に入社し、会社派遣で米国オハイオ州立大学大学院修士課程に留学する。会社ではエネルギー利用技術の研究やビジネスに携わったが、1998年、子育てに必要な時間的やりくりを家庭内でつけられるようにと退職。現在は、技術・実務の産業翻訳者としてさまざまな企業活動を支えるとともに、プロ翻訳者の情報交換サイト、翻訳フォーラムを友人と共同で主宰するなど多方面で活動を展開している。得意分野はエネルギー、環境、IT、ビジネスなど。がちがちにかたい論文から『アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝』における全編語りのやわらかい文章までをカバーする。

井口:この本の中にも出てきますが、怖さをなくす方法はありません。ただ怖さにもいろいろあって、それぞれに対しての対処方法はある。だからその対処方法をもって、最後は怖さを乗り越えて一歩踏み出すかどうかが、金持ちになる人とならない人の分かれ道だということです。

怖さの対処方法には例えばどんなものがあるのでしょうか。

井口:例えば周りに失敗したのが知られるのが怖いといった点でいえば、結局はその周りとの関係というのを重視しているから怖さが生まれるのです。金持ちになるという目的と、周りの人たちから程度認めてもらうという関係、そこにはもちろん価値があるわけなんですが、じゃああなたはどっちを優先するのか。周りとの関係を優先するんだったら、今の生活を続けた方がいいかもしれない。

 彼自身も、起業でうまくスタートできなくて苦しんでいたときに、「うちの会社に来ない?」といった誘いを友人から受けた。それを彼女に相談したところ、「その会社に行きなさい」と言われて、危うく行きかけます。「俺はあくまで金持ちになる道を突き進むんだ」と言えば、彼女が離れていってしまうことが分かっていたからです。彼はだいぶ迷いましたが、結局は自分が金持ちになる道を選んだ。その彼女とも別れたらしいです。

周りとの関係を壊すのは怖いけれども、その怖さと自分の目的とをてんびんにかけることで、怖さを振り払えるということでしょうか。

井口:そうですね。彼の場合は。怖いと思いながら、でも俺はこっちに行くんだと決めたわけです。だからといって彼は、こっちに行きなさいと言っているわけではないんです。2つ道はあって、どちらでもいいんだよ。だけど俺と同じように金持ちになりたいんだったら、そこは踏み出さざるを得ない。踏み出したとしたら、今までの関係がある程度崩れることもあり得る。それは覚悟しなさいと言いたいのです。

 単純に怖いと思っていると、ただ怖いになっちゃう。だけどこれはどちらかを取るしかない。怖いからやめて、今の小さな幸せを守りたいならそれでいいわけです。それはそれで幸せになれるであろう道なので。周りとの関係を壊して金持ちになったからといって、それが必ずしも幸せというわけではないので。

華僑は、怖いという感情にはどのように向き合いますか。

大城:失敗したときに、人からどう思われるかが怖いというお話ですが、華僑は失敗した人を笑うという文化というか感覚がないんですね。それよりもっとずるいというか、失敗したときに笑われないように根回しをしているんです。失敗した経験をもって、さらに自分を採用してもらえるような、そんなリスクヘッジを先にしています。

 だから当たって砕けろ的なことをやるんじゃなくて、これを失敗したこの経験を持っている私に対して、また投資しないかというような話の仕方を周りにしているんですね。ですのでデニスさんは、正直な方だなという印象がものすごくします。そこまで言っちゃうのかというぐらい。

 言い方が適切かどうか分からないですけれども、怖さを乗り越えるというよりも、怖さを怖くなくならせていくような方法を採る場合が華僑の場合は多いですね。これは失敗してもあり得るんだよという説明を周りにすることによって失敗が怖くなくなる。あれだけリスクあったのにそれにチャレンジしたお前は偉いよ、だからうちに来なよというように持っていくような人が多いですね。