国内外の大富豪に執事のサービスを手掛ける日本バトラー&コンシェルジュの新井直之氏と、人生に成功する条件を探る第3回目。今回も仕事の進め方について議論を深めていく。大富豪は、ビジネスを進めるうえで、公私混同をよしとするというが、そのメリットとは何なのか?

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大富豪のビジネスの進め方で特徴的な点について、さらにお聞きしたいと思います。

新井直之
執事/日本バトラー&コンシェルジュ社長
フォーブス誌世界大富豪ランキングトップ10に入る大富豪、日本国内外の超富裕層を顧客に持つ同社の代表を務める傍ら、企業向けに富裕層ビジネス、顧客満足度向上、ホスピタリティに関する講演、研修、コンサルティング、アドバイザリー業務を行なっている。
ドラマ版・映画版・舞台版『謎解きはディナーのあとで』、映画版『黒執事』では執事監修、主演の櫻井翔さん、北川景子さん、水嶋ヒロさん、DAIGOさんらの所作指導を担当。
著書にAmazonランキング1位(経営)総合3位を獲得した『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』(幻冬舎)、『執事が教える至高のおもてなし』(きずな出版)など著作多数。著書は海外でも翻訳出版され、著者累計発行部数は30万部を超える(写真=深澤明、以下同)

新井:大富豪のビジネスに関係するおもしろい考えとしては、ビジネスは公私混同というのがあります。例えば、最初にビジネスをスタートするときに、お友達相手からスタートする方が多いです。私たちは、ビジネスをスタートするときに、見ず知らずのお客様からはじめようとするので、ここが大きく違います。

 例えば、「このビジネスをはじめれば、○○さんが買ってくれるな」とか、知り合いを想定したビジネスから始めます。また、ビジネスパートナーを選ぶときも、友達とか知り合いとかから始める。雇う人も知り合いの紹介とか。

 やはり最初は、お金で割り切れないお願いとかあったりします。知り合いにしてみれば、あそこからなら断り切れないから買ってみようかなどの心理が働きます。またビジネスパートナーも、最初だからご祝儀代わりにやってみようか、などの心理になります。働く人も、最初は給料安いけど、知り合いだから仕方ないか、といった形で、とりあえず最初のビジネスを漕ぎ出せるまでになります。

ただ、そこからビジネスを広げていくのは大変だと思います。

新井:もちろんです。ただ、最初にリリースすることによって、そこからフィードバックがあります。身近な人だからこそ、いろいろ親身になって、フィードバックしてくれます。これが何にも関係ない人に売ったとすると、何もフィードバックなく、悪い評判だけがたって終わりといったことも考えられる。もう二度とあそこからは買わないぞ、で終わってしまう。だから、知り合いが最初のお客さんの方がいいんですね。

 また、見ず知らずの人に売るよりも、知っている人に売るほうが、顔をつぶすわけにはいかないので、製品にしてもサービスにしてもそれなりに頑張りますよね。という意味では、いいものができあがるというメリットがあります。

 大企業が、最初のサービスとか製品を、子会社とか従業員に買わせたりすることがあると思うんですが、それなりに効果があるのではないかと思っています。また、子会社にサービスを提供させる、例えば、IT関連を手掛ける子会社に、まず親会社がシステムを提供してもらい、そこで経験を積ませて外にビジネスを展開する、なんてことはよくありますが、これも同じ効果があるのではないかと考えます。最初は身内でやって勢いつけて外に出ていく。