新井:たまたまその社長の自宅に、部下が何人かで届け物をしたことがあったんです。そのときに、「飯でも食っていけよ」というんです。私はてっきり出前を取るのかなと思ったら、いきなり自分でフライパンを握って、野菜炒めを作りはじめました。「お前ら野菜食べてないだろ、うまいぞ」なんて言いながら、お皿に取り分けたりしている。意外と、それに皆は感激している。

 自分たちのために、社長がわざわざ野菜炒めを作る。たいしたものは、もちろん入っていないんんですけど。ベタですけど、こんなことで心はつかまれて、「あの社長のためだったらやってやるか」という心意気に変わってくるのではないかと思います。

 社長本人といえば、実は意図的にやっているのではなくて、昔は3人か4人しか社員がいなかった時代にも同じことをやっていて、その延長上にいるのだと思います。ただ、それが大企業になってもやり続けて、それが心をつかんで、会社も伸びてきていると、そんな形なのではと思います。

社員に対する愛といえますね。

新井:愛情というよりは、素の自分がずっといるということでしょうか。結局、従業員が4人でも1000人でも、従業員との接し方は全く変わっていない。成功しても基本はあまり変わらないという方が、大富豪の方には多いように思います。特に1代で会社を成長させた方は、自分がどうにかしたというより、周りが頑張ってくれたからここまで成長したんだと思われる方が多いように思います。

そこは華僑とは違うように思います。

大城:華僑は自分には自信がありますね。ただ、先ほどの料理の話でいえば、私の華僑の大富豪のボスも自分でふるまったりします。よく我々の仲間で中華料理店で集まることがあります。中には、中国の貧しい国から日本に来た子もメンバーにはいます。

 あるとき、中華料理店で集まり、その子が餃子を作るはずだったのが、捻挫をしていた。そうしたら、ボスが俺が作ると。もうみんなが恐縮している中、いいから任せろというんです。さっきの方と同じように、恰好はつけない。そのへんは似ていますね。

 ただ、ボスの場合は、多分計算してるんです。計算しているんだけど、計算していないようには見せる。そこはうまいですね。そしてさらに尊敬を集めると。

贈り物を効率的にする

 また、先ほど、贈り物の話が出てきましたが、中国も贈り物文化なので、華僑のボスにも贈り物についてはいろいろ指導を受けました。そして、時計とか財布をあげたりすることを実践しています。お金で渡すよりも、自分で使ったものをあげると効果があるように思います。

新井:大富豪の方も、自分で使っていたものを上げるということはよくあります。その方が、受け取る方も気を使わない。その一方で、使っていたという思いごと受け取るので、かわいがられた感が出てきますよね。

新井さんは、すごいものをもらったことがありそうですね。