下の人間を大切にするワケは

新井:私もそうですが、ビジネスをやっている人は、自分よりもポジションを上の人を大事にする傾向があるのだと思います。ただ、一番びっくりするのは、大富豪の方たちはそんなことにとらわれず、むしろ若い人などを大事にする傾向が高いことです。

 なぜかというと、ポジションが上の人というのは、みんなが大事にします。一方で、自分よりも下の人を大切にすると、そういえばあのときに可愛いがってもらったなと、非常に恩義に感じてくれるからなのです。

 結局、ポジションが上の人を大切にしても、多くの人が大切にする1人にしか過ぎない。一方で、ポジションが下の人を大切にすれば、それまでひょっとすると仕事の場では誰も大切にしておらず、はじめての人なのかもしれない。

 見所のある人を大切にすれば、オンリーワンになれるかもしれない。それは一生続いていく可能性もある。

大城さんはいかがでしょう

大城:敵を作らないという意味では、下の人を大切にすることは重要ですね。上から刺されるということはないですが、下から刺されるということはありますから。下克上ですよね。それには華僑も気を使っています。

 華僑は仕事は常に駆け引きだと思っていますから、そういうことも教育だと思っています。中国では、小さいころから、将来的には1番になるんだ、という教育をうけています。下から刺されるというのはあまり目に見えていません。一方で下から見る方が、弱点は見つけやすいですから。

下から狙われやすいという意味では、下のポジションの人は大事にした方がいいということになりますね。

大城:いわゆる情報収集ですよね。彼らの場合は。何を考えているのかとか。こっちに対して狙っていないのか、そういう情報収集の部分もあって、下のものは大事にします。

 また基本的には、下のものを可愛がり、大勢を従えるというのは、メンツが立つことになります。メンツを重視する華僑では、重要なことです。

新井:株でいえば、みんながほしがる安定株よりも、今は低いけど、どんどん伸びてくるベンチャーに投資するみたいな感覚でしょうか。

 また、心のつかみ方という観点では、贈り物を部下にすることが多いですね。日本でいえば、今は少なくなりましたが、お歳暮とかお中元とか、比較的、立場が上の人にお送りすることが多いと思いますが、大富豪の方は下の方に送ることが多いです。どこかに出張に行っても、おみやげを買ってきますし、誕生日にも忘れずに贈り物をします。

 それと大富豪の方って、自分の会社の方や部下が来たときに、おいしいご飯をふるまいますね。それだけじゃなく、自分で料理するケースもあります。

 ある会社経営者の方の話なのですが、自分1代で大成功して富豪になった。ただ正直、その方は特別優秀な感じもしないので、何で成功したのか、ちょっと不思議に思っていたことがあったのです。それが少しわかったときがあって、それは自分の部下の心をつかむのがとても上手なんです。