野中:一つは貢献意欲。自分の力を組織の中で役立てようという貢献意欲は必要です。それを引き出すには、給与を引き上げるとか、あるいは会社が上場したらストックオプションがもらえるとか、代表的なものでいえば、そのようなものが挙げられます。

 二つ目は共通目標。プロジェクトにしても会社にしても、向いているゴール、ベクトルは同じにしないといけません。そうでないと力が分散してしまう。

 三つ目はコミュニケーション。失敗するプロジェクトも会社も、このコミュニケーションで失敗することがほとんどだと思われるぐらい、ここは重要です。

では、コミュニケーションを良くするために、大富豪の方が実践されていることとは何なのでしょうか?

野中:メールや電話ではなく、直接会うということはされますよね。それはサラリーマンの方も実践できると思います。直接会って、例えば食事をしながら話をする。そういうことを大切にしています。

 分かりやすい例ですと、2000年ぐらいからITバブルといって、IT系の会社が多く上場しました。ただ、中にはダメになってしまった会社もあった。

 なぜかと考えたときに、さっきの三つのことでいえば、会社を大きくさせようという共通目標はある。できれば会社を上場させようとか。そして上場させたら、ストックオプションなども考えられるので、貢献意欲も満たされる。

 でも最後のコミュニケーションのところがおろそかになってしまう。特にIT系の会社だとツールを使うのに慣れている分、例えばチャットなどで物事を進めてしまう。極端な話、隣に座っているのに、メールで話をする。それを繰り返していると、やっぱり意思疎通が難しくなってしまいがちです。

メールだけだと、100%伝わらないとか、誤解が生じるとか、そのようなデメリットがあるということですね。

野中:例えばメールで、これしなさい、とか、あれしなさい、とか書いてあると、この人、ひょっとして怒っているんじゃないかな、とも取られてしまう。でも本人はそんなつもりではない。ただ、一方がそう受け取ると、次に顔を合わせたときに、何となく気まずい。

 会って話をすれば、そんな誤解が生じない。だからメールのコミュニケーションって難しいですよね。会って、目と目を見て、表情を読み取りながら話をするというのがコミュニケーションでは重要になってくると思います。

怒るなら、先に褒める

コミュニケーションという点で、何かほかに気を付けている点はありますか?

野中:怒るときにはまず先に褒めるようにしています。最初に褒めて、そのあとにここはダメだったよねと指摘する。最初にダメだったことを指摘すると、人間ってそのあとの言葉が耳に入ってこないんですよ、怒った後に、次は頑張ろうね、といっても、大体耳には入ってこない。

 まずは心を開かせるところから始めないと。だから褒めることから始めて、心を開かせて耳を傾ける状態にしたところで怒る。