「オフィスの必要性」を徹底議論してみると

社内の反対意見に対してはどう説得を?

:まず、「オフィスは本当に必要なのか?」という議論からスタートしました。必要派からは「顔を合わせて会議がやりたいです」という意見がありました。「会議は会議室じゃなくてもできるでしょ?」と返すと、「いや、オンラインでは難しいです」と言う。なぜ難しいのかと問うと、「相手の息遣いが伝わらないと…」と言う。「相手の息遣いが伝わらないと決まらない会議ってどんな会議?」と聞くと、特に見当たらない。「チームビルディングのために必要です」という意見もありましたが、「そもそもチームビルディングって何? 仮に直接会って相手の顔色が悪かったとして、何ができる?『大丈夫?』って声を掛けることで相手は一時的に気が晴れるかもしれないけれど、根本的解決になっていないよね。その解決に向かう働き方を実現するほうが、よっぽどチームビルディングに役立つかもしれないよ」と話していきました。

なるほど。問いを突き詰めていくと、納得できますね。

:僕は何も相手を言い負かそうなんてまったく思っていなくて、「なんとなく経路依存するのは止めよう。ゼロに戻って考えよう」と伝えたかったんです。これはいつも僕がミーティングで言っている口癖のようなものですが、何事も思考停止に陥っては終わり。常に問いを立て直す意識がないと、会社も淘汰されていく時代なんです。

 「Slack」のようなビジネスチャットツールを社内のコミュニケーションベースにすることの是非もよく議論されていると思いますが、僕の考えでは“やり方次第”ということに尽きます。例えば、僕が参加している「Slack」のチャネルグループは数十あるのですが、原則としてどんな小さなこともここで共有するようにしています。「口頭で少人数だけが知る」ということがないように、情報を徹底的に共有することが重要。年に1、2回しか顔を出さない会社でも、何が起きているかは全部把握できています。しかも、「1対1のダイレクトメッセージは無し」に。なぜなら、皆に共有できない情報なんてあるはずがない、という前提があるからです。

でも、「あの人、ちょっと怒ってるよね」とかオフラインで言いたくなることはあると思うんですが。

:なぜ誰かが怒る状況になっちゃったのか? という問題解決をすべきですよね。ストレスを溜める原因には、きっと特定の誰かに仕事が集中していたり、情報の偏りがあったりと、必ず原因がある。情報を全員でフルオープンにしておくと、ストレスが発生する芽に誰かが気づいて、肥大化する前に摘み取ることができるんです。

ありがちなのが、プロジェクトが進む途中段階で、偉い人が「俺は聞いていないぞ」とヘソを曲げるとか。情報共有が徹底していたら、そういった非効率も防げると。

:そう思います。ただし、「読んでいなかったあなたが悪い」と言うのも禁止にしています。多忙な相手に対して勝手にメッセージを送って「読まない方が悪い」と責めるのは理不尽ですから。必ず読んでほしい相手には、必ず相手の名前を入れて通知が届くようにして、読んだ相手は何らか返信をするというルールにしています。こういったコミュニケーションを上司部下関係なく続けていると、結果的に組織はフラットになりました。

それでうまくっているんですか?

:すごくうまくいっています。うち、稟議も承認もなくなりました。経費の使い道さえ、そのプロセスをオープンしておけば勝手に進めていいんです。