そもそも、山田さんが起業に目覚めたのは、いつ、どんな時でしたか?

 大学卒業後すぐにフリーランスで働き、ずっとスタートアップの道を歩んできました。でも、最初から起業一本で生きていこうと決めていたわけではないんです。

 僕は公立小学校から中高一貫の私立校に進んだのですが、これがかなりの進学校でした。どうあがいても成績上位にはなれなかった。

 自分より頭が良い人が世の中にいくらでもいる、と中学生で気付いたわけです。大学1年生の頃は「起業とはどんなものだろう」という漠然とした興味から、起業家を支援するNPO法人(特定非営利活動法人)の活動に参加していました。現ソフトバンクグループ会長の孫正義さんをはじめ、そうそうたる起業家の講演を聞いたり、オフィスを訪問して話をしたりできました。

 ただ、どこをどうしたら孫さんのようになれるのか、全くもって想像がつかなかった。当時の孫さんは実業家として脂の乗り切った40歳前後で、こちらは愛知から東京に出てきたばかりの大学1年生でしたから、当然といえば当然です。孫さんのようには、到底なれるとは思えませんでした。この体験から「いったん起業を諦めよう」との結論に落ち着きました。

 その後はインターネットで情報発信する学内サークル「早稲田リンクス」に加入し、大学2年生で幹事長を務めることになりました。どうしたらサークル活動を盛り上げることができるのかを、考えて実行していくことに夢中で取り組みました。

「起業ありき」ではなかった

 振り返ってみると、会社組織を運営する上でサークルの経験が役立っているなと感じます。でもこの頃まではやはり、起業を意識していませんでした。大学3年生の終盤から始めた就職活動では、楽天など複数のネット企業から内定をもらっていましたし、他の大手企業の就職試験も受けていました。

 ただ結局、就職活動を通じて「これからどのように生き、稼いでいくか」と思い悩んだ末に、起業への思いが強まっていったのです。

 大企業や官庁に勤めたり、研究職に就いたりすると、自分より優秀な人たちと競い合うことになります。それはかなり大変なことで、自分は落ちこぼれてしまう可能性があるのではないかと思いました。大企業などの“大きな山”の頂上を目指さずとも、自分自身でビジネスを作る“小さな山”に登って、自分の陣地にする生き方も、なかなかいいんじゃないかと思えたのです。

 僕は、消去法とも言えるような感覚でスタートアップの世界に飛び込んだのですが、飛び込んでみて、心底、この世界は面白いですよ。

山田氏が考える起業の心構え
  • 外部から積極的に情報を取り込むことが、優れた発想につながる
  • 自分のアイデアが正しいとは限らない。結果は数字に表れる
  • 「違う」と思ったらすぐ方針転換
  • 自分自身でビジネスを作る“小さな山”に登り、その頂上を目指す

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山田会長はなぜ、メルカリを成功させられたのか?